講演・口頭発表等

2021年7月1日

繊⽑⾍テトラヒメナ Tetrahymena thermophila のアクチン重合阻害剤耐性能の獲得の過程における遺伝⼦発現の変化

日本細胞生物学会大会
  • 阿久津智晃
  • ,
  • 赤澤大樹
  • ,
  • 清水祐太
  • ,
  • 沼田治
  • ,
  • 中野, 賢太郎

開催年月日
2021年7月1日 - 2021年7月1日
記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)

アクチンは真核⽣物の細胞運動をはじめとする様々な細胞機能に必須な細胞⾻格である。繊⽑⾍テトラヒメナ T. thermophila においては、主要なアクチンを ACT1 遺伝⼦がコードしている。アクチン重合阻害剤 Laturunculin-A(LA)を処理すると、テトラヒメナは直ちに⾷胞形成が阻害される。しかし、数時間後には⾷胞形成能が回復する。私達の先⾏研究から、このテトラヒメナに⾒られるアクチン重合阻害剤耐性能の獲得には、普段はほとんど発現していないアクチンアイソフォーム ACT2 遺伝⼦の急激な発現増加が重要な鍵を握ることが明らかになってきた。即ち、ACT2 遺伝⼦破壊細胞は、LA 耐性能を獲得できない。⼀連の実験から、テトラヒメナはアクチンの性状あるいはその細胞内の働きが撹乱されたことを感知して、ACT2 を中⼼とする代替的なシステムを速やかに構築する機構を備えていると私達は推測している。今回、私達は RNA-seq による遺伝⼦の発現解析によって、LA 処理直後の遺伝⼦の発現量の変化について網羅的に調べた。その結果、ACT2 以外にも様々な遺伝⼦の発現量が増加することを明らかにできた。さらに、それらの遺伝⼦の上流領域の構造から、転写調節因⼦と結合する可能性のある特徴的な配列が浮かび上がってきた。詳細については当⽇発表する。