共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年10月 - 2023年3月

重水素原子置換生体関連物質の網羅的合成と機能性評価

日本学術振興会  科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)  学術変革領域研究(B)

課題番号
20H05738
体系的課題番号
JP20H05738
配分額
(総額)
28,990,000円
(直接経費)
22,300,000円
(間接経費)
6,690,000円

重水素(D)は水素(H)の放射性のない安定同位体として認識されているが、有機化合物のC-H結合をC-D結合に置換した化合物の物性は明らかに異なる(同位体効果;C-D結合はC-H結合より安定)。一方、機器分析性能は急速に向上しており、重水素置換化合物は親化合物(未置換体)との類似性を利用したトレーサーとして有用視される。この相反する価値観を理解し制御することで新たな学術的な変革を起こすことができる。そのため、多様でユニークな重水素置換化合物の合成法(重水素化)の開発が切望されている。本計画では、未踏分野である生体関連物質(脂質・脂肪酸・医薬品・合成前駆体など)の重水素置換体合成法を確立し、他の研究代表者らと連携し新たな医薬品や機能性材料を創製することを目的とする。2020年度は、活性炭担持型白金族触媒を用いて特定の医薬品の多重重水素化ならびに、原料となる基質の重水素化に続く更なる変換による重水素化医薬品の構築に成功した。また、脂質類の直接的多重重水素化も低重水素化率ではあるが進行することを見出すことができた。一方、金属フリーな反応条件においても、オレフィン類の部分的重水素化体合成法の開発に成功した。重水素化オレフィンは、合成前駆体として有用である。現在、得られた重水素化体の物性を評価している。医薬品のチトクロームp450における代謝活性評価において、C-H部位をC-D結合に変換したことによる安定性(一次同位体効果)と、それ以外の所にC-D結合に変換した効果(二次同位体効果)を検証している。また、研究分担者や研究協力者と連携し、重水素標識ヌクレオシド類の調製法を確立した。そこで、DNA, RNA損傷分析のMS分析におけるトレーサーとしての実用検討を行っている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-20H05738
ID情報
  • 課題番号 : 20H05738
  • 体系的課題番号 : JP20H05738