共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

サルコペニアと疲労の関連に着目した高齢癌患者の治療指針となるバイオマーカーの探索

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K09524
体系的課題番号
JP20K09524
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

近年、高齢癌患者が急速に増加しているが、老化に伴う身体機能の低下などにより治療の可否、治療法を決定するのに苦慮することが多い。高齢癌患者では、抗癌治療として、手術・抗癌薬物治療を行う上で、治療に耐えうることが可能か判断する必要があるが、高齢癌患者の全身状態の評価としては、サルコペニアなどの形態学的な評価および、フレイルなどの質問紙を用いた評価が検討されている程度であり、客観的なバイオマーカーは確立されていない。本研究はサルコペニアと癌患者の多数に認める癌関連疲労(CRF)の関連に着目し、CRFに関連する分子に着目し、形態学的および自覚的な評価、臨床データと
比較検討を行うことで、高齢者の個々の状態を適切に評価し、治療を決定する上での客観的なバイオマーカーの確立を目指すものである。これまでに動物モデルにおいては免疫不全マウスに対しヒト繊維肉腫細胞株(HT1080)を担癌したところ、再現性良くサルコペニアの症状の一つである筋萎縮をきたすことを確認している。動物モデルにおいても、今後解析を進め、ヒトの結果と合わせ解析を進めていく予定である。
また、進行癌患者において、重篤なサルコペニアの状態である悪液質患者を対象とし「疲労感」の評価を疲労感に関連する問診票(FACIT-F)を用いて行ったところ、悪液質患者では有意に疲労感を感じていることを確かめた。またその患者において、血漿中サイトカイン測定を行ったところ、IL-6,IL-8,IL-10といった分子が有意に上昇していることを確認している。これまでに血漿中メタボローム測定を行い、いくつかの代謝物において有意に変化のある代謝物を同定している。これまでに得た結果と合わせることで客観的評価可能なバイオマーカーの確立を目指しているところである。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K09524
ID情報
  • 課題番号 : 20K09524
  • 体系的課題番号 : JP20K09524