共同研究・競争的資金等の研究課題

2000年12月 - 2002年3月

当事者間の特別の法律関係と法定債権の間の国際私法上の性質決定問題

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
12620038
体系的課題番号
JP12620038
配分額
(総額)
1,400,000円
(直接経費)
1,400,000円
資金種別
競争的資金

国際私法年報3号に「婚約破棄に関する国際私法上の問題--特別の法律関係と法例11条の間の法性決定問題--」を執筆した。本論文は、表題のような諸問題について日本および最近のドイツ・フランスの国際私法学説・裁判例の研究を行なったうえ、これらの問題に関する日本の国際私法の解釈論について、検討したものである。その結論の要旨は以下のようである。婚約破棄による損害賠償請求の問題については法例に抵触規則の欠缺がある。従来「婚約の効力」といわれていた問題については14条類推説をとる。婚約につき成立と効力を分けることの当否については、フランスの本国法説でこれらを分けていないことを参考に、分けないことが妥当であると考え、従来成立と考えられていた問題も含めて14条を類推適用する。
上記論説を含め、このテーマに関する既発表論文に加筆修正を行なって、『国際私法上の当事者利益による性質決定』を執筆した。本年3月末に有斐閣から出版される。この書は「序章」「第1章 前提となる法性決定の総論的問題-契約と不法行為の抵触規則の競合問題を例に」「第2章 契約と不法行為の抵触規則の競合問題」「第3章 契約締結上の過失責任の法性決定」「第4章 不当利得と基本関係の間の法性決定問題」「第5章 婚約破棄に関する国際私法上の問題」から成る。主要な加筆・修正は以下のとおり。まず、新たに書き下ろした節としては、「第1章第5節法性決定の方法」がある。この節は、国際私法独自の立場からの法性決定はどのように行なうべきかについて、従来の学説の趣旨の理解について分析した後、抵触規則目的説をとるべきであるとの結論を述べたものである。第2に、旧稿執筆以後の日本の学説の紹介を追加し、そのうち、私見への批判に対しては、再批判するなど、応答した。特に第1章と第2章でそのための加筆を相当行なっている。第3に、その後公表された日本の裁判例およびそれらに対する評釈については、気のついた範囲であるが、加筆した。第4に、外国国際私法立法については、第2章のもととなった旧稿公表後にスイスで1987年国際私法、ドイツで1999年改正民法施行法が成立している。これらについての学説を含め、旧稿の該当部分を書き直した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-12620038
ID情報
  • 課題番号 : 12620038
  • 体系的課題番号 : JP12620038