2005年
テンポとカンタム : Ryder指標と簡易法の比較
人口学研究
- 巻
- 37:47-65
- 号
- 開始ページ
- 47
- 終了ページ
- 65
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.24454/jps.37.0_47
- 出版者・発行元
- 日本人口学会
合計特殊出生率(TFR)の動きをより正確に理解するためには,一人の女性が生涯のどの時期に(何歳で)子供を産むかというタイミングの変化を示すテンポ(tempo)要因と,一人の女性が生涯に何人の子供を産むかという生涯出生力の増減を示すカンタム(quantum)要因に分けて観察する必要がある。このテンポ要因とカンタム要因への分解には様々な方法があるが,ライダー(Norman B. Ryder)がその先駆的な研究において示したRyder指標(Ryder Index)が最も良く知られている。しかし,この指標を実際に試算するにはコーホートに沿い長期にわたる各歳別出生率データが必要であり,結果的に分析可能な対象期間が著しく限定される。また計算も非常に煩雑であるなどの困難に直面する。そこで本稿では,比較的人手が容易な合計特殊出生率(TFR)とコーホート合計出生率の時系列データのみを用い,ほぼ同様の指標を求める方法(簡易法と呼ぶ)を提示するとともに,数式により共通点と相違点を確認,両者が十分に近似しうることを示した。またスイスの長期データや,戦後の各歳別出生率データが得られた旧西ドイツ地域,旧東ドイツ地域,オーストリア,オランダ,日本の事例をもとに計算結果を比較し,両者の変動パターンが極めて近似すること,またその相違は,平方平均二乗誤差率(RMSPE : the root mean square percentage error)で概ね1%-2%,最大でも5%-6%に留まることを明らかにした。
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.24454/jps.37.0_47
- ISSN : 0386-8311
- CiNii Articles ID : 110009825241
- CiNii Books ID : AN00120134