2004年 - 2006年
熱帯海草藻場における生物多様性を指標とした沿岸生態系の機能評価法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
タイの熱帯海草藻場を対象に、自然および人為的な環境ストレスが海草藻場の生態系機能と生物多様性に与える影響を解明することにより、海草藻場の生物多様性(種組成および生物量)を指標とした沿岸生態系の機能評価の手法を開発することを目的とする。この目的を達成するため、タイにおける野外調査を3年間行った。得られた成果の概要は下記のとおりである。
1.陸域からの物質流入の程度の異なる2地域5箇所の海草藻場を調査域として、環境条件、生物多様性および生態系機能の長期変動を把握した。海草藻場の物理学的・化学的プロセスは、河川流入のある河口域の海草藻場と、河口から離れた海草藻場で大きく異なること賀判明した。また、海草藻場間の比較では、生物多様性の高い海草藻場ほど生態系機能(生産性および安定性)が高いことが判明した。さらに、これらの変異は、海草の生化学的構成の変化とも相関していることを明らかにした。これらの結果により、海草および付随する動物群集の状態および生物多様性を指標にした海草藻場の生態系機能評価法を検討した。
2.2004年12月に発生した津波による大規模攪乱が海草藻場生態系および生物群集に与える影響を評価した。その結果、海草の種多様性および生物多様性は、津波による攪乱の強度と相関していたのに対し、動物群集のそれは、必ずしも関係しないこと、また海草植生の有無が津波の効果の変異に関連していることが判明した。また堆積物の物理的構造の変化および海草の地下茎の安定同位体比の変化を通じて、津波前後の物理環境の変化を推定し、津波等による堆積物環境の攪乱が生物群集に与える効果の新たな検証方法を確立した。
1.陸域からの物質流入の程度の異なる2地域5箇所の海草藻場を調査域として、環境条件、生物多様性および生態系機能の長期変動を把握した。海草藻場の物理学的・化学的プロセスは、河川流入のある河口域の海草藻場と、河口から離れた海草藻場で大きく異なること賀判明した。また、海草藻場間の比較では、生物多様性の高い海草藻場ほど生態系機能(生産性および安定性)が高いことが判明した。さらに、これらの変異は、海草の生化学的構成の変化とも相関していることを明らかにした。これらの結果により、海草および付随する動物群集の状態および生物多様性を指標にした海草藻場の生態系機能評価法を検討した。
2.2004年12月に発生した津波による大規模攪乱が海草藻場生態系および生物群集に与える影響を評価した。その結果、海草の種多様性および生物多様性は、津波による攪乱の強度と相関していたのに対し、動物群集のそれは、必ずしも関係しないこと、また海草植生の有無が津波の効果の変異に関連していることが判明した。また堆積物の物理的構造の変化および海草の地下茎の安定同位体比の変化を通じて、津波前後の物理環境の変化を推定し、津波等による堆積物環境の攪乱が生物群集に与える効果の新たな検証方法を確立した。
- ID情報
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- 課題番号 : 16405007
- 体系的番号 : JP16405007