1997年
リゾリン脂質による皮膚のヒアルロン酸産生促進効果:培養真皮線維芽細胞の細胞増殖に対するリゾフォスファチゾルコリンの影響
日本油化学会誌
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- 巻
- 46
- 号
- 9
- 開始ページ
- 977
- 終了ページ
- 984
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.5650/jos1996.46.977
- 出版者・発行元
- Japan Oil Chemists' Society
天然に存在するリゾホスファチジルコリン (LPC) は単球の遊走性こう (亢) 進, 平滑筋細胞の収縮や血小板の活性化および血管内皮細胞からの増殖因子の分泌亢進など細胞に対して広範な影響を引き起こすことが知られている。本報において正常皮膚線維芽細胞のDNA合成に対する外因性LPCの影響について検討を行った。主にヒアルロン酸を主成分とするグリコサミノグリカン (GAG) 産生促進作用が明らかになっているC12 : 0-LPCやC14 : 1-LPC, C16 : 1-LPCの添加によりDNA合成が促進された。一方, GAG合成作用を有するC18 : 3-LPCは DNA合成を顕著に抑制した。C12 : 0-LPC添加で亢進したDNA合成はスタウロスポリン, ゲニステイン, 百日咳毒素 (IAP) およびプロプラノロールの共存により消失した。C12 : 0-LPCやC18 : 3-LPCの添加で亢進したGAG産生もプロプラノロールを除く以上の阻害剤によって消失した。ホスファチジルエタノールの添加ではDNAおよびGAG産生のいずれも影響を受けなかった。C18 : 3-LPCによるDNA合成の抑制はIAPにより回復しなかった。従って, このDNA合成の抑制にはアデニル酸サイクラーゼの活性化は関与していないことが示唆された。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.5650/jos1996.46.977
- ISSN : 1341-8327
- CiNii Articles ID : 10002273279
- CiNii Books ID : AN10512582