2000年
大学生の引きこもりと心身症(大学生のメンタルヘルスと心身症)
心身医学
- 巻
- 40
- 号
- 3
- 開始ページ
- 199
- 終了ページ
- 205
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.15064/jjpm.40.3_199
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 日本心身医学会
大学生の"引きこもり"について, 大学の保健管理センターで関わった12例をもとに報告した.1)性別では男性に圧倒的に多い.2)引きこもり先は自宅の自室とアパートなどに独居している者が同数.3)大学入学以前に不登校の既往のある者よりもない者の方が多い.4)程度では軽度と思われるアパシーや, まったく社会とコミュニケーションの取れない重い症例もいたが, 中間の症例が最も多い.5)アトピー性皮膚炎や気管支喘息などの心身症を合併する症例が多い.6)その後2/3の者は退学した.彼らは精神分裂病による自閉や躁うつ病のうつ病相で"引きこもり"になったわけではないが, なんらかの神経症的症状, 強迫的傾向や対人恐怖症状をもち, 高い自尊心と低い自己評価の間の葛藤に悩むことが多かった.対応・治療では一部の症例は行動や身体面からのアプローチが有効であったが, 多くの症例ではその対人関係上の問題から良好な治療者・患者関係が築けず対応が困難であった.相談件数も増加しており, 大学生のみならず青年期のメンタルヘルス上重大で, 心身医学からのアプローチも今後重要と思われる.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.15064/jjpm.40.3_199
- ISSN : 0385-0307
- CiNii Articles ID : 110001122566
- CiNii Books ID : AN00121636