共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年5月 - 2021年3月

強相関物質設計と機能開拓 -非平衡系・非周期系への挑戦-

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(S)  基盤研究(S)

課題番号
16H06345
体系的課題番号
JP16H06345
配分額
(総額)
111,020,000円
(直接経費)
85,400,000円
(間接経費)
25,620,000円

従来MACE(階層的第一原理強相関電子状態計算法)は密度汎関数法の局所密度近似から出発していたが、この手法には二重勘定という欠点があった。局所密度近似の影響を除去してこの二重勘定を解消し、銅酸化物超伝導体の第一原理計算に実際に応用した。
MACEで得られる有効ハミルトニアンを解くためにテンソルネットワーク法と変分モンテカルロ法を組み合わせて、非常に高い精度とその系統改良を可能にした。機械学習法を従来の変分波動関数と組合せる方法も開発した。ボルツマンマシンに着目し、従来の変分波動関数と組合わせて、フェルミオン系に適用できる高精度の制限ボルツマンマシン法や深層ボルツマンマシンによる基底状態の任意精度での表現に成功した。これらの改良手法は銅酸化物超伝導の第一原理計算や、量子スピン液体の解明に下記のように応用され、威力が示された。
多変数変分モンテカルロ法(mVMC)と、厳密対角化法のHΦコードを同一インターフェースで使える形で公開した。
銅酸化物の1,2,3バンドでの水銀系とランタン系化合物の第一原理有効ハミルトニアンを解き、La2CuO4のモット絶縁相の電荷ギャップと反強磁性の秩序モーメントの実験値を再現した。また水銀系化合物HgBa2CuO4の第一原理計算でd波超伝導の実験相図を定量的に再現した。
角度分解光電子分光法(ARPES)で得られたスペクトルから自己エネルギーをボルツマン機械による機械学習によって抽出する手法を開発し、銅酸化物高温超伝導体に適用した。実験研究者との共同研究で、自己エネルギーの正常(金属)成分と異常(超伝導)成分が互いに打ち消しあい、実験データからは直接見えないピーク構造が高温超伝導の起源であることを発見した。
β-Bi4I4が「弱い」トポロジカル絶縁体で、散逸のないスピン流のON/OFF制御ができる初めての物質であることを発見した。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-16H06345/16H06345_saitaku_gaiyo_ja.pdf
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-16H06345/16H06345_saitaku_shoken_ja.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16H06345
ID情報
  • 課題番号 : 16H06345
  • 体系的課題番号 : JP16H06345