2016年12月31日
In vitro properties of Fluorapatite-forming calcium phosphate cements
日本歯科保存学雑誌
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- 巻
- 59
- 号
- 6
- 開始ページ
- 472
- 終了ページ
- 478
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11471/shikahozon.59.472
- 出版者・発行元
- 日本歯科保存学会
<p> 目的 : リン酸カルシウムセメント (calcium phosphate cement : CPC) は水分の存在下でヒドロキシアパタイトを形成する自己硬化性リン酸カルシウムであり, 高い生体親和性と骨伝導性を兼ね備えているため骨補塡材として医科領域で応用されている. 近年, ヒドロキシアパタイトの水酸基の一部がフッ素に置換されたフッ素置換型ヒドロキシアパタイトは骨形成を促進し, 酸性環境下においてもヒドロキシアパタイトと比較して溶解性および吸収性が低いことが報告されている. そのため, フルオロアパタイト (fuluorapatite : FA) を形成するCPCは, 骨移植材としてだけではなく逆根管充塡, 穿孔封鎖および直接覆髄などの歯内療法用セメントとしての用途も考えられ, 幅広い臨床応用が推察される. 本研究の目的は, CPCにフッ化ナトリウムを添加することによってFAを形成するCPC (FA-forming CPC) を試作し, 理工学的特性を解析することである.</p><p> 材料と方法 : リン酸四カルシウム (tetracalcium phosphate : TTCP) と無水リン酸二カルシウム (dicalcium phosphate anhydrous : DCPA) から構成されたCPC粉末に, フッ化ナトリウムをフッ素/カルシウムのモル比が0~0.4になるように添加, 調整し, FA-forming CPC粉末とした. なお, TTCP粉末およびDCPA粉末の粒子径は, おのおの4.0μmと1.0μmを使用した. 溶液は0.5mol/lリン酸 (pH 5.6) を使用し操作性を考慮した粉液比2.5 (P/L=2.5) で練和した. 理工学的特性としては硬化時間, ダイアメトラル引張強さおよび多孔率を測定した. また, 硬化したFA-forming CPCに含有されるフッ素量の測定およびX線回折法 (X-ray diffraction : XRD) による成分分析も併せて行った.</p><p> 成績 : FA-forming CPCはフッ素を添加しなかったCPCと比較して, 硬化時間の短縮 (14.3~16.8分), ダイアメトラル引張強さの低下 (1.0~3.4MP) および多孔率の増加 (40.7~49.0vol%) が認められた. また, 添加したフッ素量の増加に伴い, 硬化したFA-forming CPCに取り込まれるフッ素量も有意に増加した. FA-forming CPC硬化後のXRDでは, 高い結晶性を有するFAの形成が確認された.</p><p> 結論 : 添加するフッ素量の増加に伴って, 高い結晶性を有するFAの形成が示された. FA-forming CPCの理工学的特性を解析した結果, 新たな骨補塡材および歯内療法用セメントとして応用できる可能性が示唆された.</p>
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- ID情報
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- DOI : 10.11471/shikahozon.59.472
- CiNii Articles ID : 130005239823