2018年3月1日
過去10年間に日本大学松戸歯学部口腔外科学講座で治療した口腔扁平上皮癌の臨床統計学的検討
日大口腔科学
- 巻
- 44
- 号
- 1
- 開始ページ
- 1
- 終了ページ
- 7
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本大学口腔科学会
治療成績の向上を目指すため、過去10年間に当科で治療を行った口腔扁平上皮癌の一次治療症例について臨床統計学的解析を行ったので報告する。2006年4月1日から2016年3月31日までの10年間に日本大学松戸歯学部付属病院口腔外科を受診し、口腔外科学講座にて治療を行った口腔扁平上皮癌症例を対象として、診断時年齢、性別、受診経路、病悩期間、原発巣の発生部位、Stage分類(UICCに準拠)、治療法、治療成績について検討を行った。対象症例は110例であり、男性64例(58.2%)、女性46例(41.8%)で男女比は1.4:1で男性に多く、平均年齢は64.2±13.2歳であった。受診経路は歯科診療所から紹介が82例(74.5%)で最も多く、一般診療所から紹介が10例(9.1%)、自院他科依頼が5例(4.6%)、がん検診が5例(4.6%)、直接来院が4例(3.6%)であった。病悩期間は1ヵ月以上3ヵ月未満が48例(43.6%)で最も多く、症状は疼痛が45例(40.9%)と最多で、次いで白斑が23例(20.9%)であった。原発巣の発生部位は舌が59例(53.6%)で最も多く、下顎歯肉20例(18.2%)、頬粘膜12例(10.9%)、上顎歯肉10例(9.1%)、口底5例(4.6%)、硬口蓋4例(3.6%)であった。T分類はT1が35例(31.8%)、T2が50例(45.4%)、T3が6例(5.5%)、T4が19例(17.3%)であった。N分類ではN0が90例(81.8%)、N1が12例(10.9%)、N2が8例(7.3%)、N3が0例であった。全症例M0であった。Stage分類別では、Stage Iが34例(30.9%)、Stage IIが42例(38.2%)、Stage IIIが12例(10.9%)、Stage IVが22例(20.0%)であった。治療法は、手術療法単独が52例(47.3%)、化学療法単独が31例(28.2%)、化学療法+手術療法が16例(14.5%)、化学療法+放射線療法が7例(6.4%)、手術療法+放射線療法が2例(1.8%)、放射線療法単独および手術療法+化学療法+放射線療法がそれぞれ1例(0.9%)であった。全症例の5年累積生存率(Kaplan-Meier法で算出)は66.2%であった。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0385-0145
- 医中誌Web ID : 2018251906