共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

ボロン酸とグルコースの反応に関する基礎研究-ジボロン酸金属錯体による特異的定量-

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
17K05910
体系的課題番号
JP17K05910
配分額
(総額)
4,940,000円
(直接経費)
0円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

2019年度は主に次の(1)~(3)に関する研究を行った。(1) アントラセンと5-メチル-3-ピリジルボロン酸からジボロン酸を合成し、キャラクタリゼーションを行った後、D-グルコースとの反応を速度論的に詳細に検討し、反応機構を明らかにした。弱アルカリ性の条件では、このジボロン酸の反応活性種は、三配位―四配位化学種と四配位―四配位化学種であることがわかった。三配位―四配位化学種に対して、D-グルコースのジオール部位が三配位のボロン酸部位と反応して中間体を生成し、次の律速段階において四配位のボロン酸イオン部位とD-グルコースの他のジオール部位が反応して環状の化合物を生成することがわかった。また、四配位―四配位化学種に対しても同様に、閉環の過程が律速であった。(2) グルコースに選択的に応答する発光性センサーの開発を目指し、ジボロン酸部位を持つ配位子を合成し、その配位子を有する発光性Ir(III)錯体を合成した。合成した錯体の糖との反応性を発光スペクトル測定により評価し、グルコースとの反応性について検討した結果、mMのオーダーのD-グルコースの定量が可能であることがわかった。しかし、グルコース選択性はなく、反応性はD-フルクトースに対しての方が高いことが分かった。(3)長さの異なる炭素鎖により架橋されたオルトアミノメチルフェニルボロン酸を合成し、D-グルコースとの反応性および反応機構の解明を通して、D-グルコースの選択的センシングに適した架橋炭素鎖の長さを検討した。1H NMR測定の結果から、D-グルコース選択性はメチレン鎖の数が4のジボロン酸が最も良いことが分かった。また、興味深いことに(1)のジボロン酸とは異なり、このジボロン酸とD-グルコースとの反応においては、閉環の過程は律速ではないことが分かった

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K05910
ID情報
  • 課題番号 : 17K05910
  • 体系的課題番号 : JP17K05910