1996年 - 1998年
東南アジアにおける淡水魚類の流行性潰瘍症候群(EUS)に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際学術研究 国際学術研究
当該研究期間に、Thailand、PhilippinesおよびBangladeshにおいて流行性潰瘍症候群(EUS)罹病魚の採材を行った。3年間で合計129例の検体を採取し、うち113例から菌分離を試みた結果、5株のAphanomyces属真菌と、2株のAchlya属真菌が分離された。得られたAphanomyces属真菌の生物学的性状は、日本国内で真菌性肉芽腫症罹病魚より分離されたAphanomyces piscicidaとほぼ同一のものであり、それらのうち3株はキンギョに対して明らかな病原性を示した。また、Thailandにおいて分離されたAchlya属真菌分離株は、いずれも新種であることが判明し、Achlya siamensisと命名して報告した。
129例中120例の病変部を病理組織学的に検査した結果、38例に真菌性肉芽腫が観察された。これら罹病魚にみられた病変はこれまでに報告のあるものと同様であり、さらに日本のアユ等に発生することが知られている真菌性肉芽腫症の病理組織学的特徴とも一致していた。
以上の調査結果から、EUS罹病魚と真菌性肉芽腫症罹病魚とはほぼ同一の病理組織像を呈し、かつ分離される原因菌と考えられるAphanomyces属真菌の生物学的性状がほぼ同一であることが判明した。従って、現在EUSと呼称されている疾病は、発表された年限から考えて真菌性肉芽腫症と呼称されるべきであり、原因真菌はAphanomyces invadansではなくA.piscicidaと命名されるべきであると判断された。
129例中120例の病変部を病理組織学的に検査した結果、38例に真菌性肉芽腫が観察された。これら罹病魚にみられた病変はこれまでに報告のあるものと同様であり、さらに日本のアユ等に発生することが知られている真菌性肉芽腫症の病理組織学的特徴とも一致していた。
以上の調査結果から、EUS罹病魚と真菌性肉芽腫症罹病魚とはほぼ同一の病理組織像を呈し、かつ分離される原因菌と考えられるAphanomyces属真菌の生物学的性状がほぼ同一であることが判明した。従って、現在EUSと呼称されている疾病は、発表された年限から考えて真菌性肉芽腫症と呼称されるべきであり、原因真菌はAphanomyces invadansではなくA.piscicidaと命名されるべきであると判断された。
- ID情報
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- 課題番号 : 08041159
- 体系的課題番号 : JP08041159