(1)省エネルギー効果に関する基礎的検討 コージェネレーションシステムにおけるエネルギー有効利用評価の基礎として, 一定条件下において得られる省エネルギー率について簡易な評価式を導き, 建物用途と適用システムの関係について考察した. その結果, 熱需要量と電力需要量との比, および自家発電効率を指標として, 適用に適する建物用途と, 省エネルギー率の最大値を得た.
(2)民生用システムの実態調査 設計面からみて指針となる諸数値, また, 各建物用途に適したシステム構成などについて検討するため, 38の施設を対象に設備機器, システム構成および建物条件などに関する実態調査を実施した. 調査項目は, 所在地, 建物用途, 床面積, 熱機関種類, 発電出力, 使用燃料, 各種設備, 電気系統, 需要, システム構成および運転保守の状況などである. 実態調査により得られた成果を以下に要約する. (a)熱機関の種類ごとに, 各建物用途に適用されている発電出力, 燃料種類, 運転方式, 運転時間帯を分類して整理した. (b)自家発電出力と契約電力の関係について調べるとともに, 熱機関, 発電機, 熱交換器等の効率や稼働率を明らかにした. (c)システム構成を熱利用, 熱機関, 蓄熱の有無, 熱源機器等により分類し, 建物用途および立地条件との対応づけを行った. (d)運用に係わる項目として発電電力利用先, 点検回数, 投資回収年数などを整理した.