MISC

2002年

超音波診断装置を用いた食塊送り込み運動の観察-有歯顎群と義歯群の比較検討-

日本顎口腔機能学会雑誌
  • 中西 紀
  • ,
  • 三木 仁志
  • ,
  • 田中 昌博
  • ,
  • 柏木 宏介
  • ,
  • 今井 敦子
  • ,
  • 川添 堯彬

9
1
開始ページ
37
終了ページ
43
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.7144/sgf.9.37
出版者・発行元
日本顎口腔機能学会

歯を喪失後に義歯を装着することが,食塊送り込み運動にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とし,舌による送り込み運動の開始時点について,口腔内状況も年齢も異なる有歯顎者と義歯装着者の比較から検討した.被験者として,有歯顎者9名(平均年齢24.9±1.7歳,以下若年有歯群とする),ならびに歯根膜による咬合支持がまったくない患者9名(平均年齢66.4±6.5歳,以下義歯群とする)を選択した.被験者に米飯10gを摂取させ,自由な咀嚼運動をさせた後,飲み込める性状に食品が変化したと感じたら一度で嚥下するよう指示した.舌運動の測定は,超音波診断装置のMモードで描出することによって,左右下顎第一大臼歯部の舌背正中部の上下運動を記録した.下顎運動は切歯点の運動軌跡として記録した.筋電位は舌骨下筋群について左右側から表面電極にて導出した.若年有歯群と義歯群の比較における統計学的解析にはMann-WhitneyのU検定を用い,有意水準を5%に設定した.計測の結果,すべての被験者において,下顎の固定開始後に舌による送り込み運動が認められた.このことから食塊送り込み以前に,若年有歯群,義歯群ともに,下顎が固定されることが確かめられた.舌骨下筋群の筋放電開始を基準点とすると,義歯群は若年有歯群と比較して舌による送り込み運動の開始時点が早く,有意な差が認められた.このことから歯を喪失後に義歯を装着することが,口腔期の開始点に影響を及ぼすことが示唆された.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.7144/sgf.9.37
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001092758
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN1047134X
URL
http://search.jamas.or.jp/link/ui/2003163632
ID情報
  • DOI : 10.7144/sgf.9.37
  • ISSN : 1340-9085
  • ISSN : 1883-986X
  • CiNii Articles ID : 110001092758
  • CiNii Books ID : AN1047134X

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