共同研究・競争的資金等の研究課題

1995年 - 1996年

老化促進マウスの心臓刺激伝導系におけるアポトーシスに関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)
  • 寺崎 文生

課題番号
07670820
体系的課題番号
JP07670820
配分額
(総額)
2,100,000円
(直接経費)
2,100,000円

【方法】老化促進モデルマウス(SAM)の老化促進系(SAMP1:8,10,44週齢)と正常老化系(SAMR1:8,10,44,90週齢)を用いた。8,10週齢は若年群、44,90週齢は老齢群である。エーテル麻酔下に心臓を摘出し組織学的検索を行った。実体顕微鏡下に房室接合部を切り出し、房室伝導系および心室作業心筋を通常の光顕、電顕および光顕・電顕的TUNEL法により観察した。
【結果】両系とも老齢群において、伝導系特殊心筋細胞の変性脱落像が個々に散在性にみられた。電顕的には、細胞膜や細胞内辺縁の小器官は比較的保たれているが、核クロマチンの辺在凝集、核周囲の筋原線維や中間径フィラメントの融解、細胞質の空胞化、ミトコンドリアの崩壊・萎縮など、核周辺の細胞内小器官の傷害を伴う特異的な変性像が観察された。また、residual bodiesを伴う変性心筋細胞も散見された。これらの病変部位では、リンパ球、好中球などの炎症性細胞浸潤はなく、ときにマクロファージによる変性心筋細胞の貧食が認められた。さらに、光顕・電顕的TUNEL法では、一部の伝導系特殊心筋細胞の核にTUNEL陽性所見がみられ、心筋細胞核におけるDNA断片化の存在が考えられた。
【考案】老化促進モデルマウス(SAM)の房室伝導系において、伝導系特殊心筋細胞の変性脱落が微細構造学的に核の変性を含む特異な形態をとり炎症性細胞浸潤を伴わないこと、一部の心筋細胞核にTUNEL陽性所見を認めることが観察された。これらの事実から、SAMにおける刺激伝導系特殊心筋の細胞死にはアポトーシスあるいは老化に特異的な細胞死のメカニズムの関与が示唆される。また、病態生理学的にこれらの微細構造病変は、加齢にともなう刺激伝導傷害の原因となる可能性がある。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-07670820
ID情報
  • 課題番号 : 07670820
  • 体系的課題番号 : JP07670820