1995年 - 1996年
磨砕タルクの水熱処理による各種粘土鉱物の合成
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
磨砕により反応性を飛躍的に増加させた磨砕タルクを出発物質として水熱処理を行ない、各種の粘土鉱物を合成する研究を行った。得られた結果は以下の通りである。
1.タルクは磨砕することにより非晶質物質に変化すること。しかし、^<29>Si‐NMRからはこの非晶質物質は局所的にはタルクの層状構造を残しているものと考えられる。
2.この磨砕タルクを各種ナトリウム塩溶液および蒸留水により200〜250℃で7日間程度の水熱処理を行うことにより、tri‐型スメクタイトあるいは低結晶質タルクが得られた。しかし、当初に期待したセピオライトは今回の実験条件下では生成しなかった。
3.各種アルミニウム塩(塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、およびアルミン酸ナトリウム)溶液で同様に水熱処理を行った。生成物は溶液中のAlと出発物質中のSiとのモル比(Al/Si比と記す)、および反応時のpHにより異なることが判った。反応が酸性条件下の場合には、Al/Si比が低い時にはtri‐型スメクタイト、中程度の時にはdi‐型スメクタイト、高い時にはカオリナイトが生成した。さらに高濃度では、アルミニウムをより多量に含む不純物が生成した。反応がアルカリ性下で進行する場合には、Al/Si比が低い時にはtri‐型スメクタイト、高いときはには蛇紋石のような、ほとんどアルミニウムを含まない粘土鉱物のみが得られ、アルミニウムを含む沸石類の副生成物が認められた。
以上のように、タルクは磨砕することにより活性化し、粘土鉱物合成の出発物質として利用できることが明らかとなった。今後、処理条件を工夫することにより、さらに多くの粘土鉱物の生成が期待できるものと考えられる。
1.タルクは磨砕することにより非晶質物質に変化すること。しかし、^<29>Si‐NMRからはこの非晶質物質は局所的にはタルクの層状構造を残しているものと考えられる。
2.この磨砕タルクを各種ナトリウム塩溶液および蒸留水により200〜250℃で7日間程度の水熱処理を行うことにより、tri‐型スメクタイトあるいは低結晶質タルクが得られた。しかし、当初に期待したセピオライトは今回の実験条件下では生成しなかった。
3.各種アルミニウム塩(塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、およびアルミン酸ナトリウム)溶液で同様に水熱処理を行った。生成物は溶液中のAlと出発物質中のSiとのモル比(Al/Si比と記す)、および反応時のpHにより異なることが判った。反応が酸性条件下の場合には、Al/Si比が低い時にはtri‐型スメクタイト、中程度の時にはdi‐型スメクタイト、高い時にはカオリナイトが生成した。さらに高濃度では、アルミニウムをより多量に含む不純物が生成した。反応がアルカリ性下で進行する場合には、Al/Si比が低い時にはtri‐型スメクタイト、高いときはには蛇紋石のような、ほとんどアルミニウムを含まない粘土鉱物のみが得られ、アルミニウムを含む沸石類の副生成物が認められた。
以上のように、タルクは磨砕することにより活性化し、粘土鉱物合成の出発物質として利用できることが明らかとなった。今後、処理条件を工夫することにより、さらに多くの粘土鉱物の生成が期待できるものと考えられる。
- ID情報
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- 課題番号 : 07640649
- 体系的課題番号 : JP07640649