2015年3月8日
日本人作家と上海―桃葉・田中貢太郎の場合―
茨城の国語教育
- 巻
- 号
- 14
- 開始ページ
- 58-69
- 終了ページ
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
大正期~昭和初期ににわかに巻き起こった中国・朝鮮旅行ブームに乗って、多くの文人たちが彼の地を訪れた。当時、作家・伝記作家として知られた田中貢太郎(号は桃葉)も草した流行に背中をおされる形で、中国へ赴いた一人であった。しかし、小学校高等科卒業後に土地の漢学塾で学んだ彼の場合は、谷崎潤一郎や芥川龍之介らのような所謂高学歴の知識人たちとは一線を画した意識で彼の地に赴いたように思われた。彼が中国旅行の第一歩を記した上海紀行を手がかりにこの問題を考察した。