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2018年2月

【福島第一原子力発電所での事故から得られた公衆衛生における教訓】食品中の放射性物質の規制値と濃度の現状(【Lessons learned on public health from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident】Regulation values and current situation of radioactive materials in food)

保健医療科学
  • 寺田 宙
  • ,
  • 山口 一郎
  • ,
  • 志村 勉
  • ,
  • エリック・スベンソン
  • ,
  • 欅田 尚樹

67
1
開始ページ
21
終了ページ
33
記述言語
英語
掲載種別
出版者・発行元
国立保健医療科学院

福島原発事故後、厚生労働省は原子力安全委員会の策定した飲食物摂取制限に関する指標を基に食品中の放射性物質に関する暫定規制値を設定した。飲食物摂取制限に関する指標は国際放射線防護委員会等の考え方を踏まえて実効線量5mSv、甲状腺等価線量50mSvを基準に策定されたものである。平成24年4月1日には現行の食品中の放射性物質に係る基準値が施行された。基準値は食品摂取による年間線量が1mSvを超えないように設定されており、コーデックス委員会の考えを踏襲している。日本の暫定規制値と基準値は米国、EU、コーデックスの誘導介入レベルよりも低くなっているが、これは基準となる線量ではなく、基準値の誘導にあたっての前提条件の違いによるものである。事故後、食品の検査が始まると間もなく暫定規制値を上回る食品が見つかり大きな社会問題となった。このため、農林水産省、地方自治体と生産者により飼養管理の徹底、カリウム肥料の施肥といった様々な放射性物質の低減策が取られた。これらが功を奏し、現時点では大部分の食品は基準値を下回り、放射性セシウム濃度は十分低いレベルにある。食品の検査結果を用いた線量評価やトータルダイエットスタディにおいても食品由来の線量は年間線量の上限である1mSvを十分に下回っており、我が国の事故後の対応は概ね有効であったと評価できる。ただし、野生キノコ、野生鳥獣肉、山菜類、淡水魚といった飼養管理、栽培管理が困難な食品については依然として放射性セシウム濃度が高く、現時点でも基準値の超過が認められており、引き続きモニタリングを行うべきである。(著者抄録)

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ID情報
  • ISSN : 1347-6459
  • eISSN : 2432-0722
  • 医中誌Web ID : 2018306840

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