本報告に与えられた課題は、農林水産物・食品ブランドの形成が困難な地域で農業・農村の活性化をどう図るかについて検討することである。本報告では、地域ブランドの動きを一定の幅を持って捉えるとともに、「地域ブランド形成の困難な産地」についても、現段階でブランド産品を持たない産地やブランド発掘育成中産地のほか、ブランド産品があるものの基幹作目をカバーするほどの品目に当たらず、その取組で農業・農村の活性化を図るのが困難と見られる地域等を想定する。後者をブランド形成の困難な産地とみてよいかどうかについて吟味の余地もあるが、少なくとも地域農業を牽引する産品の発掘育成に苦悩している点でブランドを持たない産地とほぼ同様の課題な抱えていると言える。これらの産地、こういった産地を抱える地域の存続・活性化をどう図るかが、いま、重要な地域問題または政策課題として問われている。本報告ではこれらの点を検証することにより、食と農を軸とする豊かな地域社会と穏やかな暮らしの形成について展望を行う。