事例検討によるケアの変化の記述を目的として,会議記録等から循環器疾患患者のせん妄ケアにかかわる看護師が抱く困難感とその対策,実施,評価を抽出し,質的記述的に分析した.看護師が感じた困難感は,患者に対する【影響し合う低心機能とせん妄症状】【変動する認知機能】【睡眠リズムの乱れ】【せん妄を招く療養環境】【自傷・加害行為】,看護師に対する【せん妄状態把握の難しさによる判断の違い】【患者のペースを崩す看護師中心のケア】【1人のせん妄患者に手がかかる煩わしさ】【看護師の薬剤知識のばらつきによる使用方法の違い】【事故・自己抜去により感じる精神的困惑や疲弊】,医師に対する【医師・看護師間の薬剤使用に関する考えの違い】【せん妄状況にある患者への配慮不足】であった.これらに対して具体的な対策を立案し,実施することで,せん妄評価の継続と記録方法の改善,リスク評価を用いた安全確保など,せん妄患者に対する看護師のケアに変化がみられた.(著者抄録)