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査読有り
2009年

骨盤アライメントは骨盤および体幹の回旋可動性に影響するか?

日本理学療法学術大会
  • 和田 治
  • ,
  • 建内 宏重
  • ,
  • 市橋 則明

2008
開始ページ
C3P3487
終了ページ
C3P3487
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14900/cjpt.2008.0.C3P3487.0

【目的】<BR>脊柱への回旋ストレスは腰痛などの原因として重要視されている.一方,脊柱の運動はカップリングモーションとして,ある一平面での運動が他の平面での運動に影響を及ぼすことが知られている.したがって,臨床において個人差を多く認める矢状面での骨盤アライメントは,脊柱や股関節のアライメントに影響し,身体の回旋可動性を変化させる可能性がある.本研究の目的は,矢状面での骨盤アライメントが体幹・骨盤・脊柱の回旋可動性に与える影響を明らかにすることである.<BR>【方法】<BR>対象は,書面にて本研究への参加に同意の得られた健常成人男性19名(24.3±3.3歳:mean±SD)とした.測定課題は立位での身体回旋動作とした.動作時の対象者の立位姿勢は,両足部踵骨中心間を対象者の足長と同距離とし,足角は10°に規定した.また,動作中は両手を腹部の前で組ませた.対象者には,3秒間で後方へ身体を回旋し3秒間で正面に戻る動作を行わせた.動作は左右3回ずつ行い、3回の平均値を解析に用いた.骨盤アライメントを,自然立位(以下:中間位),自然立位より5度前傾位(以下:前傾位),自然立位より5度後傾位(以下:後傾位),の3種類とし,各々の条件で身体回旋動作を測定した.計測には三次元動作解析装置VICON NEXUS(VICON社製)を用い,Plug-in-gaitモデルを用いた解析により左右体幹回旋角度の合計(体幹回旋角度),左右骨盤回旋角度の合計(骨盤回旋角度),体幹回旋角度と骨盤回旋角度の差(脊柱回旋角度)を算出した.さらに,最大体幹回旋時の左右体幹側屈角度を求め,左右3試行の平均値(体幹側屈角度)を算出した.統計処理は反復測定一元配置分散分析を行い、多重比較検定にはBonferroni検定を用いた.有意水準は5%とした.<BR>【結果】<BR>中間位の骨盤前傾角度は10.9±4.6°であった.体幹回旋角度は,中間位と比較して,前傾位,後傾位において有意に低値(ともにp<0.01)を示したが,前傾位と後傾位の間に有意な差はなかった.また,骨盤回旋角度は中間位と比較して,前傾位で有意に低値(p<0.05)を示したが ,中間位と後傾位および前傾位と後傾位の間に有意な差はなかった.さらに,脊柱回旋角度は中間位と比較して,前傾位,後傾位において有意に低値を示したが(ともにp<0.01),前傾位と後傾位の間に有意な差はなかった.体幹側屈角度は,中間位・前傾位・後傾位で有意な差はなかった.<BR>【考察】<BR>今回の結果より,矢状面における骨盤アライメントの変化は体幹・骨盤・脊柱の回旋角度に影響を及ぼすことが明らかとなった.この原因として,矢状面での骨盤アライメントの変化が,脊柱のカップリングモーションや股関節の可動性に影響を及ぼし,骨盤や体幹の回旋可動性が変化したと考えられる.以上より、骨盤の矢状面アライメントは身体における回旋ストレスを変化させる可能性が示唆された.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14900/cjpt.2008.0.C3P3487.0
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130004581022
ID情報
  • DOI : 10.14900/cjpt.2008.0.C3P3487.0
  • CiNii Articles ID : 130004581022

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