MISC

2016年

下腿三頭筋に対するダイナミックストレッチングがジャンプパフォーマンスに与える影響

理学療法学Supplement
  • 藤田 康介
  • ,
  • 建内 宏重
  • ,
  • 小山 優美子
  • ,
  • 市橋 則明

2015
開始ページ
154
終了ページ
154
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14900/cjpt.2015.0154
出版者・発行元
公益社団法人 日本理学療法士協会

【はじめに,目的】スタティックストレッチング(SS)やダイナミックストレッチング(DS)は運動前に実施されることが多く,これらがその後の運動に及ぼす影響について検討することは運動指導上有用である。先行研究によると,SSを行うとその後のスポーツパフォーマンスは低下するがDSでは向上すると報告されている。このような先行研究においてはDSを股関節や膝関節に対して高速・高頻度に実施することが多いため,前述の効果が相反神経抑制によるものなのか,必然的にもたらされるウォームアップ効果なのかを疑問視する考え方がある。近年,足関節底屈筋のみに対するDSを行った結果,足関節背屈可動域の増加が得られることが報告されたが,この方法によりスポーツパフォーマンスがどのように変化するのかを詳細に検討した報告は見当たらない。そこで今回,ジャンプ動作を例にとり,跳躍高,及び動作中の足・膝・股関節各々の運動力学的指標が足関節のみに対するDSを実施した前後でどのように変化するのか検討することを目的とした。【方法】対象は健常男性15名(年齢25.5±3.2歳,身長171.6±5.7cm,体重64.7±8.3kg)とした。運動学的・運動力学的分析には三次元動作解析装置(VICON社製)および床反力計(KISTLER社製)を使用し,サンプリング周波数はカメラ200Hz,床反力計1000Hzとして測定を行った。反射マーカーはPlug-in-gait full body modelに準じて,対象者の上下肢,体幹に27箇所貼付した。測定課題はカウンタームーブメントジャンプとした。被験者は静止立位から上肢の反動をつけて最大努力で垂直跳びを行った。測定はDSの前後で3回ずつ行い,後の2回を解析対象とした。なお,DSは先行研究と同様に立位で一側下肢を股関節軽度屈曲位,膝関節伸展位として前方に浮かし,1秒に1回の頻度で足関節を勢いよく最大まで背屈させる運動を行った。回数は30回を1セットとし,左右を交代しながら各下肢10セットずつ行った。得られた値のうち,胸骨剣状突起と第10胸椎棘突起の中点を体幹部重心(COT)とし,COTの垂直成分の最大変位量を跳躍高とした。また,跳躍前のCOTの垂直成分が最小になった時点から爪先離地までの時間を跳躍期と定義し,矢状面における股関節,膝関節,足関節の発揮パワーの正の最大値および跳躍期に各関節がした正の仕事量を下肢の各関節における力学的指標として算出した。統計学的処理として,介入前後の各指標の変化を対応のあるt検定にて検討した。有意水準は5%とした。【結果】跳躍高は介入の前後で有意に変化しなかった(介入前50.2±4.8cm,介入後49.4±4.6cm)。また,各関節のピークパワー,仕事量も介入前後で有意な変化はみられなかった。【結論】本研究の結果,足関節のみに対するDSはジャンプ動作の跳躍高,運動力学的指標を変化させないことがわかった。この結果はDSがスポーツパフォーマンスに与える影響について考える上で重要な知見となりうる。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14900/cjpt.2015.0154
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005417201
ID情報
  • DOI : 10.14900/cjpt.2015.0154
  • CiNii Articles ID : 130005417201

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