61歳女.食思不振を来たし,正球性正色素性の重度な貧血に白血球,血小板減少が加わった著明な汎血球減少と,黄疸,ヘモグロビン尿を認めた.LDHは著増し,アイソザイムではLDH-1が増加し,間接ビリルビン優位の増加であり,ハプトグロビンが著減していたことより溶血性貧血を疑った.蔗糖水試験,Ham試験は陰性,赤血球表面抗原CD55,CD59は陽性であった.又,直接,間接クームス試験が陰性で,不規則抗体は検出されず,ANF,抗DNA抗体,LEテスト等も陰性で,LE細胞形成試験でも異常所見は認めず,自己免疫疾患の存在も証明できなかった.VB12の減少と骨髄所見及び環状鉄芽球の存在より,MDSの病態にVB12欠乏による巨赤芽球性貧血が併発し,pre DIC状態が加わったと考えた.ステロイド投与,洗浄赤血球,濃厚血小板の輸血,ハプトグロビン,VB12の補充を行い,第9病日より溶血所見は改善し,第24病日の骨髄穿刺で異常所見は消失した.異常血色素分析でβサラセミアのヘテロ接合体が判明した