2003年12月
「二一世紀の労働権―生存権としての労働権から人格的生のための労働権へ―」
『青山学院女子短期大学紀要』(青山学院女子短期大学)
- 巻
- 第57輯
- 号
- 57
- 開始ページ
- 47-70
- 終了ページ
- 70
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
本稿では、二〇世紀までの労働権(憲法27条)の在り方を、それに対応した消費社会の展開の中で問い直すことを基軸として、二一世紀の労働権を捉えようと試みる。労働は人が自然や他者に働きかける具体的な出発点である。従って、もし労働の在り方が転換するならば、現代の人間関係の問題や自然環境破壊の問題の解決の糸口が提示されることになるのではないか。このような期待に基づき、「生存権としての労働権」(25条的理解)の充実を、近代以降求められてきた「自由権としての労働権」(22条的理解)時代の到来と解するのではなく、むしろ「人格的生のための労働権」(13条的理解)への転換点として位置づける。