Works(作品等)

2005年11月

「人間の尊厳と死の管理化-甲斐克則『尊厳死と刑法』を読んで-」


作品分類
その他
発表場所
『法の理論24』(成文堂)

書評

甲斐克則『尊厳死と刑法』(成文堂、医事刑法研究第二巻、二〇〇四年)の書評である。二十世紀の後半から現在にかけて、科学技術の発展と個人主義的社会の発達の、影の部分もまた目立ち始めてきている中で、私たちには、技術による自然(人間の身体も含め)の設計主義的管理と共に、個人の孤立した自己決定による意志決断主義的自己支配に対する、より深いレベルでの問い直しが迫られているように思われる。本書評では、「物語」としての生と「からだ」を通してのコミュニケーションの可能性、という人間観、身体観に基づいたとき、本書によって提示された尊厳死の法的位置づけが、どのように修正されることになるかについて論じる。