共同研究・競争的資金等の研究課題

2004年4月 - 2007年3月

吸収/発光時間分解スペクトルの同時測定によるホタルの生物発光反応初期過程の解明

日本学術振興会  基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
16540371
体系的課題番号
JP16540371
担当区分
研究分担者
資金種別
その他

本研究課題の目的は「ホタルの生物発光反応初期過程の特徴を分光学的に解明すること」である。そのために、3年計画を立案した。すなわち、初年度には問題点を洗い出し、中間年度にはそれらの解決策を見出し、最終年度には具体的な成果を得ることを目標とした。同時に、発光反応素過程の量子化学計算を実施し、新たな定量的知見を得ることに努めた。
1.2004年度の知見等の成果:前年度までの「ホタルルシフェリン(Ln)のDMSO中化学発光反応素過程」に関する研究成果に基づいて生物発光反応にも同じ手法を試みたが、溶媒である水溶液を真空ラインで脱気することが困難でありケージドATP(CATP)を用いる実験を先行させた一光トリガーによりATPを生成し発光反応を開始できる。しかしながら、Ln自身のケイ光強度が強く生物発光ピークと重なるため生物発光の時間変化を検出できなかった。
2.2005年度の知見等の成果:前年度に明らかとなった問題の解決策を見出すことを優先した。短寿命、低濃度の中間体を検出するために瞬時に多数のCATPを分解する必要がある。そこで、酵素ルシフェラーゼ濃度を10"7Mに固定し、〔Ln〕、〔ATP〕、〔Mg2+〕を発光減衰曲線巾が狭くなるよう調整した。また、CATPの最適濃度はその50%がATPに分解すると仮定して決められた。しかしながら、生物発光信号を捉えることはできなかった。
3.2006年度の知見等の成果:前年度までの未解決の問題に対処するために光物性の専門家Tanakaを分担者に加えた。CATPを用いる困難さを分析し、より適した装置を組み立てなおした一YAGレーザー(355nm)のパルス発振をトリガーとして、Lnのケイ光を高速シャッターで機械的に遮断し、微弱な生物発光のみをバンドパスフィルターを通してフォトンカウンティングにより光電流パルスを積算した。その結果、ミリ秒の時間域で生物発光信号の減衰曲線を初めて観測し、今後中間体の直接検出の端緒を開くことができた。
本課題の研究成果として、国際会議を含めた発表件数17件、編著者としての専門書1冊、生物/化学発光シンポジウムに関連した単行本2冊5編、専門学会誌に掲載された論文数が2編であった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16540371
ID情報
  • 課題番号 : 16540371
  • 体系的課題番号 : JP16540371