メディア報道

2020年4月1日

社員の不安を解消するにはどう伝えるか


種別
新聞・雑誌
執筆者
本人以外
発行元・放送局
日経BP社
番組・新聞雑誌名
日経 Top Leader
掲載箇所
p.33

<記事の中でコメント>

新型コロナウィルスのような未知のリスクに直面したら、経営者はどんな行動をすべきか。リスク心理に詳しい同志社大学心理学部の中谷内一也教授は2つのポイントを挙げる。
まず一つ目は、社内のリスク管理責任者として、自社のリスクを最小にすること。これは普段の経営の延長で考えればよい。
自社に望ましくないことが起こるリスクの大きさは、出来事の影響の大きさと発生確率の高さで決まる。このリスクをどう小さくするかが経営者の仕事になる。
問題は、コロナの影響の大きさ、感染確率などの評価がまだ定まっておらず、判断基準が見えにくいことだ。その中で社長が対策を進めるには、「新型インフルエンザなど過去の事例を踏まえてまず方針を決め、動きながら調整すること。リーダーは、自分なりの見立てをはっきり示すことが大事になる。ウィルスの正体がよく分からないからとはっきり指示を出さずにいると、社内で社員からの信頼度は下がってしまう」(中谷内教授)。

■未知のものへの不安
もう一つの役割は、組織のトップとして説明責任を果たし、社員を落ち着かせることだ。
多くの人は、「リスクの大きさを、恐ろしさ、未知性という因子で直感的に捉えがちだ」(同)。恐ろしさとは、死亡者が増えている、世界規模で惨事をもたらしているといったこと。未知性とは、感染しても症状がすぐに出ず外部から分かりにくい、科学的に解明されていないといったこと。いずれもコロナウィルスに当てはまる。
未知の恐ろしいものなので、大惨事をもたらしかねないと社員は不安になる。「経営判断のためにリスクを確率などの数字で捉えようとする経営者とはやや捉え方が違うので、『致死率はSARSの5分の1』などと説明をしてもなかなか不安は晴れない」(同)。
こうした社員の不安を軽減するには、新型インフルエンザなど過去のリスクと比較しながら話し、未知のものを少しでも既知のものに近づけて説明すると不安を抑えやすくなるという。加えて、「うちにはお客様の信頼がある」などと、社員のこれまでの頑張りを評価して話すと社員の納得を得やすい。

(抜粋)