近年,地球環境問題が大きく取り上げられるに従って,流域を対象とした環境研究が盛んになってきた。国際的には,地球圏一生物圏国際協同研究計画(IGBP)とこれに続くIGBPII,さらには,IGBPと世界気候研究計画(WCRP),生物多様性科学国際協同プログラム(DIVERSITAS),地球環境変化の人間・杜会的側面に関する国際研究計画(IHDP)の四者が連携した地球システム科学パートナーシップ(ESS-P)の中でも,流域が重要な研究対象となっている。ここでは,第1期IGBPに対応して,1997年度から2001年度にかけて実施された「大学等における地球圏一生物圏国際協同研究計画後期計画」(IGBP-MESSC-TEMA)研究の成果を紹介する。また,IGBPIIやESS-Pへの展望として,流域研究の中に人間活動の次元をどのように位置づければよいかについて考察を加えた。