共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

発癌と炎症を促進するEnterococcus属を取り巻く腸内環境の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K07904
体系的課題番号
JP18K07904
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

腸内細菌叢を制御するには、細菌と細菌の相互作用を理解することが重要である。腸内のEnterococcus属は肝発癌や腸炎を促進する細菌であり、これを制御することは疾患の予防・治療につながる。しかしEnterococcus属が細菌叢の中でどのように他の細菌と相互作用するのか解明されていない。患者便、かつ肝発癌マウスモデルや腸炎マウスモデル便のメタゲノムデータを用いたネットワーク解析からEnterococcus属と共存しない細菌を同定しEnterococcusの発育を抑制する菌を推定するのが目的である。まずは、健常者、かつ肝癌患者、炎症性腸疾患患者便中に存在するEnterococcus属を分離培養することを試みた。分離培養には2種類のEnterococcus分離培地を用いた。分離培養されるEnterococcusの半数以上はEnterococccus feaciumであった。ついでEnterococcus faecalis、その他のEnterococcusが続いた。これら分離株の一部からDNAを抽出しシーケンシングを行い、E. faeciumやE. faecalisといった菌種を確定した。続いて、患者便、健常者便からDNAを抽出し、これらを次世代シーケンサーMiseqを用いて全ゲノムショットガンシーケンシングを行い、メタゲノム解析を行った。Enterococcus族は健常者便細菌叢にはあまり存在せず、肝癌患者や炎症性腸疾患患者便細菌叢には健常者に比して多く存在した。このメタゲノムデータを用いて共存する細菌について相関ネットワーク解析を実行中である。ネットワーク解析からEnterococcus属と共存しにくい細菌種を見出した。その細菌種を多く含むのは健常者便であった。その菌種を多く含む腸内細菌叢を持つマウスではEnterococcusの発育が抑制された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K07904
ID情報
  • 課題番号 : 18K07904
  • 体系的課題番号 : JP18K07904