共同研究・競争的資金等の研究課題

2000年 - 2001年

ボツリヌス毒素の腸管よりの吸収機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
12670255
体系的課題番号
JP12670255
配分額
(総額)
4,000,000円
(直接経費)
4,000,000円

ボツリヌスC型菌は分子量約15万の神経毒素に分子量約14万の無毒成分(non-Tox non HAと命名)を結合してM毒素を、さらにこれに赤血球凝集素(HA)を結合してL毒素を形成する。A型菌の場合はM、L毒素の他、L毒素が2分子結合したLL毒素も産生する。我々はHAはHA1(〜33kDa)、HA2(〜17kDa)、HA3a(〜22kDa)、HA3b(〜53kDa)よりなること、L(およびLL)毒素はM毒素よりも効率よく腸管から吸収されることを報告してきた。精製A型LおよびLL毒素、大腸菌で人工合成した各HAサブコンポーネントのモルモットの小腸上皮細胞への結合性を調べ、A型毒素は主にHA1を介して結合することを認めた。さらにこれら毒素の赤血球への結合を詳細に解析し、そのレセプターはGalβ1-4GlcNAcであることを示した。C型のL毒素および各サブコンポーネントを用いて同様の実験を試みたところ、毒素の腸上皮細胞および赤血球の結合には、当初シアル酸に結合するHA3bのみが関与すると思われたが、HA3b、HA1の両方が関与しており、HA1のレセプターはシアリルラクトースであることが推察された。なお、HA1の重要性は、HA活性の低いC型L毒素では、HA1のC端が欠失していたこと、HA1に対するモノクローナル抗体がL毒素の経口毒性を減少〜中和したことからも示唆された。さらに、C、D型の無毒成分はほとんど同一のアミノ酸配列を示すことから、この無毒成分を用いて腸管免疫を高めると、C、D型両毒素の吸収を阻害することも認めた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-12670255
ID情報
  • 課題番号 : 12670255
  • 体系的課題番号 : JP12670255