共同研究・競争的資金等の研究課題

1996年 - 1997年

ボツリヌス菌の産生する無毒蛋白質の構造と機能の解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
08457088
体系的課題番号
JP08457088
配分額
(総額)
6,300,000円
(直接経費)
6,300,000円

ボツリヌス神経毒素(分子量約15万)は培養液や食品中では無毒成分と結合し、30万、50万、90万という巨大分子(progenitor toxin)を形成している。A型菌は30万、50万、90万の毒素を、B型、C型およびD型菌は30万と50万の毒素を産生する。30万の毒素は神経毒素に赤血球凝集活性(HA)を示さない無毒成分(non-toxic non-HAと命名)が結合したものであり、50万、90万の毒素は30万の毒素にさらにHAが結合したものである。
私達は各毒素を精製すると伴に、その遺伝子を解析する事により以下の結論を得た。
1)HAは53、33、20-22、17kDaのサブコンポーネントより成る。
2)30万の毒素を構成しているnontoxic-nonHAは、50万の毒素のnontoxic-nonHAと異なり、そのN端側に切れ目(nick)を持っており、このためにHAが結合できない。
3)90万の毒素は50万の毒素がHA-33を介して2分子結合したものである。
4)HAは赤血球のみならず、小腸の上皮細胞に特異的に結合する。
5)HAに対する赤血球上のレセプターは(毒素)型により異なる;C、D型はシアル酸を含む糖脂質と糖蛋白に、A、B型は中性糖脂質に結合する。赤血球の構成成分から考え、C、D型は主にグリコホリンに結合していると推察された。
6)赤血球に結合するのは4つのサブコンポーネント中、53と33である。
7)53は糖鎖末端のシアル酸に結合するが、33はシアル酸の他(シアリダーゼ処理後に末端となる)Gal→GlcNacにも結合する。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-08457088
ID情報
  • 課題番号 : 08457088
  • 体系的課題番号 : JP08457088