2000年
Role of Hypocotyl Hairs in Adhering Strength and Establishment of Juvenile Seedlings of Monochoria vaginalis to Different Seed Beds.
雑草研究
- ,
- 巻
- 45
- 号
- 3
- 開始ページ
- 190
- 終了ページ
- 199
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.3719/weed.45.190
- 出版者・発行元
- The Weed Science Society of Japan
コナギ (Monochoria vaginalis (Burm. f.) Kunth var. vaginalis) 幼植物を供試し, 湿潤ろ紙上, 湛水あるいは飽水土壌面で発芽した幼植物の固着力について測定を行った。また同時に, 幼植物の子葉, 第1葉, 種子根および全冠根の長さを調査し, それぞれの培地での幼植物の胚軸毛形成と固着力との関係について実験を行った。胚軸毛のみの培地への固着力を測定する場合は, 幼植物の幼根の頂端を切除して種子根の伸長を阻害した区を設けた。幼植物の固着力の測定は, 各培地への播種後5日目まで毎日行い, はかりの張力によって得られた最大数値を幼植物の固着力とした。コナギ幼植物の各器官の長さは, FAA液により固定後, 顕微鏡下で測定した。<br>湿潤ろ紙上で発芽したコナギ幼植物の固着力は, 胚軸毛の伸長に伴って増大し, 播種後2日目に個体当たり約2gとなったが, それ以後は5日目まで変化しなかった。また幼根の頂端を切除した個体では, 子葉, 第1葉および全冠根の伸長が抑制され, 胚軸毛のみによる幼植物の固着力は播種後3日目に約1.7gとなり, それ以後は5日目まで増加しなかった。<br>代かき後0日目に飽水状態の土壌面に播種後, 発芽した区のコナギ幼植物は, 湿潤ろ紙上の区より培地への固着力が大きく, 播種後1日目より次第に増大し, 播種後5日目には個体当たり約8gの大きさとなった。またその幼植物では, 子葉, 第1葉, 種子根および全冠根の伸長も早かった。一方幼根の頂端を切除した区の個体は, 土壌面で発芽した場合も各器官の伸長の様相は湿潤ろ紙上と類似しており, 子葉, 第1葉および全冠根の伸長は抑制された。またそれら幼植物の固着力は, 播種後3日目まではほぼ0gであったがその後は増加し, 5日目では個体当たり約1.8gの大きさとなり, 湿潤ろ紙上と同程度であった。幼根を除去した区の胚軸毛の本数は, 湿潤ろ紙上および代かき後0日目に飽水状態の土壌面に播種, 発芽した幼植物ともに, 無処理区に比べて少なかった。<br>以上の事から, コナギ幼植物に形成される胚軸毛は, 種子根あるいは冠根が土壌中に貫入し始める前に幼植物を定着させる役割を持っていた。また幼植物に占める胚軸毛自身の固着力は, 播種後2日目から3日目の期間において機能しており, その大きさはおおよそ1.8gであった。<br>飽水土壌区では, 湛水深1mm区にくらべて, 代かきの有無と代かき後の放置日数に関わらずコナギ幼植物の土壌面への固着力は大きかったが, それらの幼植物に形成される胚軸毛長は両区ともに差異はなかった。また湛水深が深いほど, 子葉, 第1葉, 種子根および全冠根の伸長は早かったが, 代かき後の土壌の放置日数と播種後5日目における各器官の長さとの間には相関関係は見られなかった。
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- ID情報
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- DOI : 10.3719/weed.45.190
- ISSN : 0372-798X
- ISSN : 1882-4757
- CiNii Articles ID : 130003996319