1995年 - 1996年
中国に分布する作物資源の遺伝的評価と開発的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 国際学術研究
- 課題番号
- 07041154
- 体系的課題番号
- JP07041154
- 担当区分
- 連携研究者
- 配分額
-
- (総額)
- 11,400,000円
- (直接経費)
- 11,400,000円
- (間接経費)
- 0円
- 資金種別
- 競争的資金
本プロジェクトの目的は、従来情報が非常に少なかった中国国内の作物について、遺伝資源の立場から調査・研究をしようとしたものである。班員は作物別にイネ・コムギ・オオムギ・ダイズの各グループにわかれ、それぞれの在来種・近縁野生種の調査研究を行った。コムギ・オオムギグループは両年とも合同して現地調査を行った。作物によってかなり諸般の状況が異なるので、以下に各班ごとに実績の概要を述べる。
1)イネ班
中国国内に分布する野生イネ(Oryza rufipogon、栽培イネの祖先種)についての情報は非常に不足しており、外国人研究者による調査は皆無であった。中国でこの野生イネが高頻度で分布し、かつ自生地の破壊が比較的少ないと思われる広西自治区に焦点をしぼり、広西自治区農科院品種資源所の遺伝資源研究者と協力関係を結び、平成7、8年の両年にわたって、省内の野生イネ自生地18カ所の調査を行うことができた。生育地はいずれも都市化や農地整備のために急速に破壊が進み、野生イネ集団の自生地保存は急を要すると思われる。今回調査した野生イネはすべて多年生型であったが、熱帯アジアに分布する同種の多年生型とは異なる特徴を持っていた。隣接する栽培イネからの遺伝子導入が認められた集団もあった。
平成7年には3人の中国側分担者を招へいし、研究打合わせを行った。その機会に、国立遺伝学研究所で「イネの進化遺伝学」に関する小シンポジウムを開催し、研究班以外の国内研究者も多数参加し、有意義であった。
2)コムギ・オオムギ班
従来から交流のあった四川農業大学のコムギ・オオムギ研究者の全面的協力を得て、ラサを中心とするチベット高地および四川省西部(チベット高原東端部)で、コムギ・オオムギ在来品種の調査・採集を行うことができた。従来エチオピアにしかないと考えられていたオオムギのirregulare型(条性不整)がチベットにも多数分布していることなど、いくつかの新しい知見を得た。コムギ・オオムギ共に各600点以上のサンプルを採集し、日本で栽培し、特性調査を開始した。平成8年には四川農大の分担者2人を招へいし本調査のとりまとめと今後の共同研究について打合わせした。
3)ダイズ班
中国各地の在来品種・野生ダイズの情報収集を目的として、各研究者が個別に各地へ調査旅行を行った。在来品種の調査を行ったのは、貴州省少数民族地域、雲南省西双版納地域である。野生ダイズの調査を行ったのは、東北部(分布北限)、黄河流域、南部(広西省)および北京近郊である。南部以外では自生地を観察することができた。平成7年に、中国におけるダイズ研究者の中心的人物である南京農大蓋教授を招へいし、両国でのダイズ資源の今後の研究の方法について討議した。
本プロジェクトの目的は中国での野外調査を通じて、これら四大重要作物の在来種・野生種の生態的調査を行うと共に、遺伝的評価を行うための材料収集であった。予想されたことだが、遺伝資源の国外持出しについては現在厳しい規制があり、特に中国からは非常に難しい。私共の研究班では次のように解決した。イネでは、中国側分担者の研究室出身者が幸い国立遺伝学研究所に職を得ることができ、共同研究の一部を日本で行っている。初めて入手できた中国の材料を加えて、この野生イネのアジア地域における変異パタンを研究中である。コムギ・オオムギ班は、四川農大分担者の尽力で彼らの来日の際に公式に日本に持ってくることができ、現在栽培中で、一次特性および播性の調査を進めている。ダイズグループは、目的としている細胞質ゲノムの分子マーカー調査を、日本側研究者が訪中し現地の大学の研究室で行っている。その結果、在来品種中に野生型と同じ型を含む7種の細胞質型を観察し、その地理的変異も見出された。
1)イネ班
中国国内に分布する野生イネ(Oryza rufipogon、栽培イネの祖先種)についての情報は非常に不足しており、外国人研究者による調査は皆無であった。中国でこの野生イネが高頻度で分布し、かつ自生地の破壊が比較的少ないと思われる広西自治区に焦点をしぼり、広西自治区農科院品種資源所の遺伝資源研究者と協力関係を結び、平成7、8年の両年にわたって、省内の野生イネ自生地18カ所の調査を行うことができた。生育地はいずれも都市化や農地整備のために急速に破壊が進み、野生イネ集団の自生地保存は急を要すると思われる。今回調査した野生イネはすべて多年生型であったが、熱帯アジアに分布する同種の多年生型とは異なる特徴を持っていた。隣接する栽培イネからの遺伝子導入が認められた集団もあった。
平成7年には3人の中国側分担者を招へいし、研究打合わせを行った。その機会に、国立遺伝学研究所で「イネの進化遺伝学」に関する小シンポジウムを開催し、研究班以外の国内研究者も多数参加し、有意義であった。
2)コムギ・オオムギ班
従来から交流のあった四川農業大学のコムギ・オオムギ研究者の全面的協力を得て、ラサを中心とするチベット高地および四川省西部(チベット高原東端部)で、コムギ・オオムギ在来品種の調査・採集を行うことができた。従来エチオピアにしかないと考えられていたオオムギのirregulare型(条性不整)がチベットにも多数分布していることなど、いくつかの新しい知見を得た。コムギ・オオムギ共に各600点以上のサンプルを採集し、日本で栽培し、特性調査を開始した。平成8年には四川農大の分担者2人を招へいし本調査のとりまとめと今後の共同研究について打合わせした。
3)ダイズ班
中国各地の在来品種・野生ダイズの情報収集を目的として、各研究者が個別に各地へ調査旅行を行った。在来品種の調査を行ったのは、貴州省少数民族地域、雲南省西双版納地域である。野生ダイズの調査を行ったのは、東北部(分布北限)、黄河流域、南部(広西省)および北京近郊である。南部以外では自生地を観察することができた。平成7年に、中国におけるダイズ研究者の中心的人物である南京農大蓋教授を招へいし、両国でのダイズ資源の今後の研究の方法について討議した。
本プロジェクトの目的は中国での野外調査を通じて、これら四大重要作物の在来種・野生種の生態的調査を行うと共に、遺伝的評価を行うための材料収集であった。予想されたことだが、遺伝資源の国外持出しについては現在厳しい規制があり、特に中国からは非常に難しい。私共の研究班では次のように解決した。イネでは、中国側分担者の研究室出身者が幸い国立遺伝学研究所に職を得ることができ、共同研究の一部を日本で行っている。初めて入手できた中国の材料を加えて、この野生イネのアジア地域における変異パタンを研究中である。コムギ・オオムギ班は、四川農大分担者の尽力で彼らの来日の際に公式に日本に持ってくることができ、現在栽培中で、一次特性および播性の調査を進めている。ダイズグループは、目的としている細胞質ゲノムの分子マーカー調査を、日本側研究者が訪中し現地の大学の研究室で行っている。その結果、在来品種中に野生型と同じ型を含む7種の細胞質型を観察し、その地理的変異も見出された。
- リンク情報
- ID情報
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- 課題番号 : 07041154
- 体系的課題番号 : JP07041154