論文

2016年2月

在宅療養高齢者の終末期医療に対する事前の意思表示の現状と課題

千葉科学大学紀要
  • 高橋 方子
  • ,
  • 菅谷 しづ子
  • ,
  • 鈴木 康宏
  • ,
  • 石津 みゑ子
  • ,
  • 布施 淳子

9
開始ページ
125
終了ページ
137
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
出版者・発行元
千葉科学大学

目的:本研究は訪問看護師の在宅療養高齢者の終末期医療の意思に関する認識から、事前の意思表示の現状と課題を検討することを目的とした。方法:訪問看護師756人を調査対象とし、郵送法にて無記名自記式質問紙調査を実施した。結果:133人から回答が得られ(回収率は17.6%)、回答に不備のあるものを除いた107人を分析対象とした。終末期医療に対する意思を事前に文書で伝えていた在宅療養高齢者は治療方針、臨終場所、医療処置の内容、代理判断者について平均1人にも満たない極めて少ない状況であり、口頭で意思を伝えていた人も平均4人に満たない状況だった。事前の意思表示の必要性は対象者のうち103人(96.2%)が「必要である」と回答した。また訪問看護師の終末期医療に対する意思把握の困難感および病気の見通しや病名の告知をまず説明すべき人についての回答理由はいずれにおいても意思決定能力の低下があげられていた。結論:現状では終末期医療に対する事前の意思表示を示している人は少ないが、事前の意思表示の必要性は高いと推測された。自分の人生観や死生観に根ざした終末期医療に対する意思を事前に考えられるような機会を如何に作るかが今後の課題であると考えられた。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1882-3505

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