共同研究・競争的資金等の研究課題

1995年 - 1996年

看護学領域に実験形態学研究法を導入する試み

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
07557324
体系的課題番号
JP07557324
配分額
(総額)
3,300,000円
(直接経費)
3,300,000円

本研究では、看護学に実験形態学研究法を導入し、これを看護学者が行う先端の研究レベルにまでたかめることを目的とした。具体的に、皮膚組織の炎症機構、卵胞の成熟・排卵と閉鎖などを課題として研究を行い、今後看護研究者が独自に研究を実践できるような環境作りを目指した。また、県内の看護婦養成校教員を対象に解剖実習講習会を開催し、成果をあげた。以下に本研究の業績概要を示す。
1.実験動物を用いた創傷モデルの作製と組織構造の観察:ラット腹壁を切開後、直ちに縫合することにより創傷をつくり、その治癒過程を顕微鏡的に観察し、皮膚創傷の炎症と治癒過程を形態的に検討した。この手法を用い、本学科4年生2名が卒業研究を行い、さらに炎症時の皮膚組織に特有なマクロファージの構造を検討し卒業論文とした。今後、看護方法を組織学的に評価する基準となると思われる。(参考論文)
2.排卵機構に関する基本的理解と母性看護への応用:マウス卵巣における卵胞の成熟と閉鎖過程の形態的特徴を明らかにし、さらに、ゴナドトロピン投与による過排卵の現象と卵巣周期に及ぼす影響を顕微鏡的に観察した。この手法を用いて、助産婦を目指す本学科4年生2名が実習し、排卵機構と卵胞成熟に及ぼすゴナドトロピンの影響を観察した結果をまとめ卒業論文とした。特に、卵胞閉鎖に伴う退化消滅が、炎症を伴わないアポトーシス細胞死によることを確かめた。(参考論文)
3.看護研究者を対象とする人体解剖学実習:人体に関わる看護研究課題の認識と、将来の指導者の養成を目的に、県内の看護婦(士)養成校の教員を対象に人体解剖学実習の講習会を開催した。本学科の教員を含め2年間で延べ50名の参加者に対し、毎年2日間にわたり、看護の臨床現場で必要とされる項目について重点的に講義・実習した。看護教員の生涯教育として、また、看護実践の質的向上にいささかでも寄与できたと感じ、今後も継続して実施する予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-07557324
ID情報
  • 課題番号 : 07557324
  • 体系的課題番号 : JP07557324