共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

マンション区分所有法制の再構築-マンション法制の国際比較研究の成果を踏まえて-


配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
0円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

本研究は、わが国の多くのマンションが、高経年化し、その居住者が高齢化している背景の下で、現実にどのような問題・課題があるかを把握し、これまでに筆者が国内外の研究者等の協力を得て行ってきた比較法研究の成果を踏まえて、わが国の区分所有法制について、①適正かつ持続可能な管理のための制度、及び②適正かつ円滑な再生のための制度を構築するために、学術的見地から提言を行うことを目的とするものであるが、本年度においては、当初の研究実施計画に従って調査研究を進め、次のような研究実績を得た。(1)課題の設定・整理:本研究全体の課題である前記①、②に関しては、後掲の研究成果(ジュリスト1532号)において整理し発表した。そのほか、以下の(3)で述べるように、前記①については管理に関する第三者との契約に係る管理組合ないし区分所有者の債務や責任の関係が、前記②については団地の財産の帰属に係る区分所有者間の権利関係がそれぞれ課題になることを明らかにした。(2)比較法研究:研究協力者の協力を得て、ひとつは、2019年6月に「比較法学会」(東北大学)において、後掲の研究成果(比較法研究81号)にある報告をし、もうひとつは、後掲の研究成果(マンション管理通信408号)にあるように、ドイツにおいて、マンションの再生に関する立法調査及び現地調査を実施した。また、昨年のギリシャでの調査及び学術交流の成果として、海外の研究者(アテネ大学教授)との後掲の共著論文を発表した。(3)わが国の法制に対する法的提言:前記①、②全般に関しては、後掲の研究成果の2つの単著論文(浅見・齊藤編の共著書と住総研究所編の共著書)で、前記①に係る管理組合の債務・責任については後掲の研究成果(現代消費者法44号)で、前記②に係る団地の財産の帰属をめぐる区分所有者の権利については後掲の研究成果(マンション学65号)で、それぞれ発表した。2019年度においては、特に、上記「研究実績の概要」の前記(2)の「比較法研究」および前記(3)の「わが国の法制に対する法的提言」において、次に述べる外在的な事情により、当初の計画以上の進展をみた(往々にして、大きな研究成果は、外在的な偶然によって得られることが少なくない)。まず、(2)の「比較法研究」においては、2020年8月のドイツの立法調査において、年来のドイツの研究協力者等の照会を通じて、ちょうど調査予定日の直前にドイツ住居所有権法(区分所有法)の連邦法務省「改正作業調査報告書」が公刊され、同報告書の作成担当者からヒアリングをすることができ、さらにその担当者から、「区分所有権の解消」に関して連邦法務省の立場に唯一反対しているNRW州の立法担当者(ケルン裁判所判事)の照会を受け、ヒアリングをすることができた。これにより、わが国の法制が範としたドイツの最先端の議論について調査することができた。そして、NRW州の立場の背景にある同州の荒廃マンションの実情について丸一日かけて現地の自治体担当者等の案内のもとで調査することができた(後掲の「マンション管理通信408号)。さらに、昨年のギリシャでの調査後において、先方の申出に基づいて、日本とギリシャの区分所有法制の比較の論文を共著にて公刊することができた。次に、(3)の「わが国の法制に対する法的提言」については、ひとつは、2019年11月(金沢)に消費者法学会において(後掲の「現代消費者法44号)、もうひとつは、2019年6月に比較法学会において(後掲の「比較法研究81号)、それぞれ日本を代表する法律学の学会において報告の機会を得ることができた。<BR><BR>今後(次年度・最終年度)は、本研究の当初の研究実施計画の各項目(前記「研究実績の概要」の(1)から(3))について、次のように調査研究を推進する予定である。(1)これまでに抽出した課題の整理:これまでに抽出した①適正かつ持続可能なマンションの管理に関する課題と、②適正かつ円滑なマンションの再生に関する課題のそれぞれについて整理し、さらに掘り下げる。これを前提に以下の(2)および(3)の調査・研究を行う。(2)比較法研究:これまでの比較法研究の成果を踏まえつつ、(1)および(3)との関連で特定の外国法制の実態を調査すべく、研究協力者の協力を得て、現地調査を実施する。調査対象国は、ドイツないしフランスを予定しているが、新型コロナウィルス禍の状況で外国調査を中止するか、または、調査対象国を変更することもある。また、実態調査と併せて、または上記の事情により、必要に応じて、ドイツ・フランス等の裁判例の調査も行うこととする。(3)わが国の法制に対する法的提言:本研究の最終年として、本研究をまとめ、わが国のマンション法制に関して、①適正かつ持続可能なマンションの管理、および②適正かつ円滑なマンションの再生について、 学術的観点から、いくつかの具体的な立法提言を行う。その研究成果については、本研究の終了年次またはその後に、マンション学会等の学会において報告することを予定している