論文

2018年3月

戦時下日本における「満州国」留学生たちの運動会

千葉大学国際教養学研究 = Chiba University journal of liberal arts and sciences
  • 見城 悌治

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記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
千葉大学国際教養学部

[要旨] 総力戦体制下では、戦時に適応する肉体の鍛錬が求められていく。1936年、駐日満州国大使館、日本陸軍などの意向の下で発足した「満州国留日学生会」は、「日満一体」の実を果たすことが期待された団体であったが、その活動の一環として、秋に留日学生たちの運動会を催していた。当初は、「親睦懇親」が主であったが、参加学生の規律や秩序が足りないという批判も出るなか、1938年からは「体育大会」と名称替えをし、団結心や日本への一体感を養成しようとする意図が強くなり、1941年には、日本人学生も参加する形で実施されるに至る。しかしながら、留日学生たちは、日本への従属を強いるかの政治性に秘かに抵抗し、あるいはまた肉体活動を忌避する「読書人(中国の伝統的知識人)」的気質も有していたこと等から、必ずしも積極的とは言えない態度で臨んだ。そこに日本と留日学生の間の齟齬、軋轢が垣間みえるのである。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/120006456989
ID情報
  • ISSN : 2432-6291
  • CiNii Articles ID : 120006456989
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000388538025

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