2006年
九州のグラーベンと内在コールドロン群との関係-とくに先行隆起との関連について-
地球科学
- 巻
- 60
- 号
- 3
- 開始ページ
- 229
- 終了ページ
- 239
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.15080/agcjchikyukagaku.60.3_229
- 出版者・発行元
- 地学団体研究会
九州に分布する別府-島原グラーベンと鹿児島グラーベン,およびそこに内在するコールドロン群との成因的関連について,陥没に先立つ先行隆起現象に着目し検討した.九州のコールドロンの陥没様式は,火山活動に先行する一次陥没と,火山活動に後れて発生するカルデラ型の二次陥没という,本宿型二重コールドロンに類似している.スケールモデル実験によると,マグマの上昇は地表を隆起させ,隆起部に放射状断裂系や,盆地縁辺部に傾動地塊状の"隆起地形"を形成した.このマグマが複数の場合にはそれぞれの隆起部を連結する"連結断裂系"が形成された.すなわち,これらは隆起運動を示唆する地形・地質現象といえる.マグマの上昇により地表はすぐさま一次陥没が生ずるが,マグマと地表の断裂系は連続していないため,マグマ噴出後に形成される陥没カルデラが先行することはない.一次陥没で終わるか,二次の陥没カルデラが生ずるかは,マグマの供給量や規模に規制されると考えられる.複数の大規模なカルデラ型陥没が生じた場合には,カルデラ群を取り巻くように一回り大きい陥没凹地が形成される.この大規模陥没凹地の形態は,マグマの配列形態に規制され,連鎖する場合には鹿児島グラーベンのような狭長な陥没凹地へ,広がりをもって散在・群生した場合には九重-別府グラーベンのような幅のある陥没凹地へ転化する.
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- ID情報
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- DOI : 10.15080/agcjchikyukagaku.60.3_229
- ISSN : 0366-6611
- CiNii Articles ID : 110006152334
- CiNii Books ID : AN00141269