2020年4月 - 2022年3月
タンパク質概日リズム振動の情報物理学
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の目的は、タンパク質の概日リズム振動におけるATP加水分解反応の役割を解明し、生物リズムという“情報秩序”を生み出す熱力学的な仕組みを明らかにすることにある。このため、次の2つを目標とする。(1)KaiC分子の振動位相の分子ペア間相関に関する相互情報量を含むように、熱力学不確定性関係を拡張する可能性を探る。(2)生化学、構造生物学による実験データとの比較により、モデルの妥当性について検証を深める。情報物理学の新しい展望を開くとともに、実験グループと連絡をとりながら振動系の分析を行い、個別分子と分子集団という異なる階層の理解を統合して、多分子間のコミュニケーションにおけるATP反応の役割を解明する。
本年度は、昨年度までに開発した多重フィードバックモデルをさらに発展させ、多数のKaiC分子における振動位相分布を計算するとともに、KaiC変異体における振動周期の目覚ましい変化を分析して、その機構を明らかにした。さらに、KaiC分子振動のもうひとつの顕著な性質として、温度変化による振動周期の変動が小さいこと(温度補償性)が知られているが、変異による著しい振動周期変化と温度補償性がともに、KaiC分子における構造と反応の多重フィードバック機構によって整合的に説明できることを理論的に示した。こうして改良したモデルをもとに、ATP加水分解が振動周期と分子間のコミュニケーションによる振動位相同期に与える影響について理論的に分析し、実験グループとの情報交換を行った。
本年度は、昨年度までに開発した多重フィードバックモデルをさらに発展させ、多数のKaiC分子における振動位相分布を計算するとともに、KaiC変異体における振動周期の目覚ましい変化を分析して、その機構を明らかにした。さらに、KaiC分子振動のもうひとつの顕著な性質として、温度変化による振動周期の変動が小さいこと(温度補償性)が知られているが、変異による著しい振動周期変化と温度補償性がともに、KaiC分子における構造と反応の多重フィードバック機構によって整合的に説明できることを理論的に示した。こうして改良したモデルをもとに、ATP加水分解が振動周期と分子間のコミュニケーションによる振動位相同期に与える影響について理論的に分析し、実験グループとの情報交換を行った。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H05530
- 体系的課題番号 : JP20H05530
この研究課題の成果一覧
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論文
4-
Proc Natl Acad Sci USA 119(22) e2109838119 2022年5月 査読有り最終著者責任著者
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bioRxiv 2021年10月 筆頭著者最終著者責任著者
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Scientific Reports 11(1) 4713 2021年2月 査読有り筆頭著者責任著者
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Physical Review E 102(4) 042408 2020年10月19日 査読有り責任著者
書籍等出版物
1-
丸善出版 2022年1月
講演・口頭発表等
2-
The 30th Hot Spring Harbor International Symposium 2022年1月18日 招待有り
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International Center for Theoretical Science Symposium 2020年12月8日 招待有り