共同研究・競争的資金等の研究課題

2000年 - 2003年

mi転写因子(MITF)によるマスト細胞の分化制御

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別推進研究  特別推進研究

課題番号
12002010
体系的課題番号
JP12002010
配分額
(総額)
195,200,000円
(直接経費)
164,000,000円
(間接経費)
31,200,000円

転写因子MITFがマスト細胞の分化にどのように関係しているのか総合的に調べる計画を立てて4年間研究を行い以下の成果を得た。1)MITFをコードするmi遺伝子座には多くの突然変異が知られている。突然変異の構造と転写因子としての機能の間にはどのような関係があるのか調べた。MITFのDNA結合部分であるbasic領域の点突然変異の結果、DNA結合能を欠くMITFは転写能を欠くばかりでなく他の転写因子の機能を妨害する(inhibitory mutation)。一方MITFを全く産生しないか、構造上きわめて大きな異常を持つMITFを産生する突然変異の場合、MITFの転写能が存在しないだけであり、ホモ・マウスの症状はinhibitory mutationの場合より軽い(null mutation)。2)MITFを発現していないtg/tgマウスを、マスト細胞の最も重要な増殖因子stem cell factor(SCF)の受容体であるc-kit receptor tyrosine kinase(KIT)の機能喪失性突然変異マウスW/Wvと同じ遺伝的背景で作成した。このtg/tgマウスはほぼ正常に成長するのでin vivoの実験を容易に行うことができた。X線照射したW/Wvマウスの静脈内に+/+マウスの骨髄細胞を注射すると赤血球、好中球、マクロファージ、B細胞、T細胞は+/+マウス由来の細胞に置き換わり、W/Wvマウスで欠損していたマスト細胞も全身の組織で出現する。一方tg/tgマウスの骨髄細胞をW/Wvマウスに注射した場合には、赤血球、好中球、マクロファージ、B細胞、T細胞はtg/tg由来の細胞に置き換わるものの、マスト細胞はどの組織でも出現しない。MITFは成熟したマウスの組織内でマスト細胞がその前駆細胞から分化するために必須の転写因子であると考えられた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-12002010
ID情報
  • 課題番号 : 12002010
  • 体系的課題番号 : JP12002010