共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

エフェクター三成分系による温度応答性の深化と高分子の温度応答性デザインの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
21H01980
体系的課題番号
JP21H01980
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

高分子と有機溶媒の両方に相互作用できる擬溶媒和分子(エフェクター)を高分子の溶液に添加することで、エフェクターと高分子の間の解離・会合により、高分子のコイル・グロビュール転移を操作するシステム(「エフェクター三成分系」と呼ぶ。)の高機能化・深化を目指し、様々な取り組みを行った。
特に有機溶媒中での多段階の温度応答を制御する方法やエフェクターの不可逆的化学反応によるコイル・グロビュール転移を操作などについて検討を行った。また水系における両親媒性高分子の下限臨界共溶温度(LCST)型温度応答性とエフェクター三成分系を用いた有機溶媒中での温度応答性の接続についても広範囲の検討を行った。つまりエフェクター・貧溶媒・高分子の三成分系ではなく、良溶媒・貧溶媒・高分子の三成分系を用いて、温度応答性の発現を数多くの高分子について、網羅的に調査を進めた。
その結果、水素結合性のポリ(4-ビニルフェノール)が様々な水素結合性溶媒と無極性溶媒の混合溶液でLCST型の温度応答性を発現した。さらにLCST型の温度応答性を示す溶液に第4成分として、第二級アミンを添加することで上限臨界共溶温度(UCST)型とLCST型の両方を併せ持つ二段階の温度応答の発現に成功した。つまり、多段階の温度応答性と第二級アミン応答系の構築が可能となった。またフッ素系の混合溶媒を用いることで、ナイロン6やポリ乳酸などの汎用性高分子の溶液でLCSTあるいはUCST型の温度応答性を見られることが明らかになった。良溶媒として用いたHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)の高い溶媒和力によって、高分子鎖間の強い水素結合を切断することで溶解し、加熱による脱溶媒和によりLCST型の温度応答が見られた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H01980
ID情報
  • 課題番号 : 21H01980
  • 体系的課題番号 : JP21H01980