2016年
餅による咽頭異物と誤診された下咽頭化膿性肉芽腫の一例.
喉頭
- ,
- 巻
- 28
- 号
- 2
- 開始ページ
- 115
- 終了ページ
- 119
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本喉頭科学会
88歳男。6ヵ月前より嚥下困難感を放置していたが、餅を喉に詰まらせ救急搬送となった。喉頭ファイバーでは梨状窩に白色腫瘤を認め、上気道は狭窄し、鎮静下で喉頭鏡・マギール鉗子を用い咽頭異物除去を試みたが、腫瘤表面の被膜が摘出された。造影CTで腫瘤は下咽頭に充満し、内部は造影で増強効果を有していた。白色被膜の病理所見は悪性を認めず、内視鏡下に腫瘤内部の生検でも炎症を伴う上皮組織で悪性所見は認めなかったが、下咽頭癌を疑い、入院17日目に全身麻酔下で下咽頭腫瘤部分切除を施行した。内視鏡下で生検した部位は白色粘膜で覆われ、柔らかい広基性の肉芽腫瘤であり、病理検査でも特異的炎症増や悪性所見を認めず、下咽頭化膿性肉芽腫と診断した。術後腫瘤は自然縮小傾向を認めたためカニューレを抜去し、気管切開孔の閉鎖後に退院した。外来フォローにて1年経過したが嚥下障害や腫瘤の増大なく経過観察中である。
- ID情報
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- ISSN : 0915-6127
- eISSN : 2185-4696
- 医中誌Web ID : 2017215620