共同研究・競争的資金等の研究課題

1999年 - 2001年

生涯個別学習を可能にするデータ蓄積型CAIシステム-長期学習実験と記憶理論に基づく学習効果予測モジュールの開発-

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
11559013
体系的課題番号
JP11559013
配分額
(総額)
13,000,000円
(直接経費)
13,000,000円

本研究は,長期的で日常的な学習事態において,膨大な学習コンテンツに対する学習者の膨大な反応データを収集・蓄積し,そこから有益な学習者情報をフィードバックすることを可能にするデータ蓄積型CAIの開発を見据え,特に,蓄積されたデータから学習効果を予測するモジュールの開発を主要な研究目的とした.そのために,ノートパソコンを高校生に貸与し,英単語学習を自宅で長期間継続してもらう長期学習実験を実施した.実験を通じて得られた膨大なデータを解析した結果,従来にない全く新しい発見が数多く見出された.例えば,学習の効果は,学習者には自覚できないレベルで,確実に積み重なっていくこと,到達度は,学習期間に対して直線的に上昇していくこと等である.さらに,個別データの解析により,予想を上回る高い精度で個人の学習段階が描き出されること,および到達度の上昇率には,非常に大きな個人差が存在することが明らかになった.個人の到達度も直線的に上昇していくことが明らかとなり,到達度データを基に単純に回帰直線を引くことにより,学習到達度の変化を予測することが可能であることが明らかになった.これにより本研究の目的は達成されたが,予想外に大きな個人差が見出されたことから,でき得る範囲でその原因を検討した.その結果,到達度の実質的な上昇率と学習に費やした時間の間に相関が見出されることが明らかになった.広く一般的に行われている英単語学習の到達度に,大きな個人差が存在することは全く新しい発見であり,その原因の解明は急務な課題といえる.本研究では,長期学習実験を実施する上で必要な,参加者にとって意味のある英単語データベースの作成もあわせて行った.研究の方法論の観点からは,本研究が基礎とする,マイクロステップ計測法という時間次元の要因を考慮できる新しい実験計画法の有効性が明確に示されたといえる.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-11559013
ID情報
  • 課題番号 : 11559013
  • 体系的課題番号 : JP11559013