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2020年3月

心身相関の基盤としての脳

臨床心理学
  • 富田 望
  • ,
  • 熊野宏昭

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2
DOI
10.13140/RG.2.2.28123.18722/1

本稿では,心身相関の基盤となる脳の働きについて,心身相関を研究する手段として多用されてきたストレス研究における知見を踏まえて解説を行った。 心身相関では,感覚器でストレッサーが知覚されると,大脳皮質と大脳辺縁系において認知的反応と情動的反応とがやりとりをしながら負担の程度を認識し,その信号が視床下部に伝達されていくことで末梢臓器・行動面・心理面のストレス反応が表出するという脳の経路が基盤として働いている。 心身症とうつ病や不安症はともに心身相関の観点から病態を理解できるが,脳内における病態の責任部位が異なっている。心身症を理解する上で強調される脳部位は,生体機能調節系の中枢である視床下部・下垂体である一方で,うつ病や不安症を理解する上で強調される脳部位は,大脳皮質・大脳辺縁系である。 心身症は身体疾患であるということから,内臓感覚器から入力される身体反応が心理的反応に影響を及ぼす「身心相関」の視点も重要である。 心―脳―身相関の解明が進んだことによって,うつ病や不安症を心身相関の観点から捉えやすくなった。うつ病や不安症は精神疾患であるが,どちらも様々な自律神経失調症状を呈するため,心身相関の脳内基盤を理解しておくことが重要である。

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DOI
https://doi.org/10.13140/RG.2.2.28123.18722/1 本文へのリンクあり
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  • DOI : 10.13140/RG.2.2.28123.18722/1

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