2019年4月 - 2023年3月
電子スピン分極の三次元映像化で解く多重励起子・電荷分離立体構造の分子運動効果
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
- 課題番号
- 19H00888
- 体系的課題番号
- JP19H00888
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
-
- (総額)
- 45,500,000円
- (直接経費)
- 35,000,000円
- (間接経費)
- 10,500,000円
- 資金種別
- 競争的資金
単一の光子から複数の三重項励起子を生むシングレットフィッション(一重項分裂)は有機薄膜太陽電池において飛躍的に高い光エネルギー変換効率をもたらす現象として世界的に注目されている。本研究では、時間分解電子スピン共鳴法をベースに世界最高性能の空間分解能を持つ中間体構造解析の画期的ツールとして独自に開発してきた「電子スピン分極イメージング法」を主たる手法とし、時々刻々と変化する多重励起子や光電荷分離状態の立体配置とその分子運動効果をナノ秒領域の三次元動画 (映像化)として実験的に特徴づけた。分子内シングレットフィッション系では、強く相関した多重励起子からの電子的相互作用による束縛を解く際にかかるねじれ振動モードと周波数を具体的に特徴づけるとともに、それによる解離多重励起子の立体構造の変化も明らかにした。さらに励起子解離による立体構造変化の分子論起源は不明であった。本研究では、電子構造論に基づき双性イオン構造による束縛励起子対からのテラヘルツ振動による開放として、具体的に記述することもできた。動物による磁気コンパスの働きを持つものの起源と考えられているクリプトクロムにおいては、光誘起電荷分離過程で生成する電荷分離状態の立体構造と配位水のゆらぎ分子運動による電子伝達機構の詳細を明らかにした。以上より、結晶性と非晶性を併せ持つ有機エレクトロニクス薄膜や生体タンパク質のエントロピー効果と運動による電子的効果を用いるデバイス効率飛躍的向上化の知的基盤を獲得し、有機薄膜太陽電池開発で課題となっている超高効率化への指針を提示することができるようになってきた。
- リンク情報
- ID情報
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- 課題番号 : 19H00888
- 体系的課題番号 : JP19H00888
この研究課題の成果一覧
絞り込み
受賞
1-
2020年10月
論文
1-
Chemical Science 11(11) 2934-2942 2020年2月 査読有り招待有り最終著者責任著者
書籍等出版物
1-
月刊「化学」(化学同人) 2020年3月