共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

糖尿病の母親から生まれた子供の脳神経機能に及ぼす影響―食品成分が改善できるか?ー

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K11136
体系的課題番号
JP18K11136
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

これまでの研究では、糖尿病妊娠モデルラットを用いて、生まれた仔の心臓への影響を検討してきた。その結果、子宮内で高血糖状態に曝された仔ラットは、出生後は血糖値が正常であるものの、心臓においてはタンパク質が過度に糖化されることで産生されるAGEsが慢性炎症を惹起し、インスリン抵抗性が引き起こされることを明らかにした。一方、タンパク質が過度の糖化は、糖尿病だけでなく、心血管病やがん、不妊症、アルツハイマー型認知症などの多様な疾患と関与することが報告されている。そこで、私達は糖尿病妊娠モデルラットを用いて、子宮内高血糖が胎児脳の神経細胞においてどのような影響を及ぼすかを分子レベルで検討した。
妊娠2日目のラットにストレプトゾトシンを投与することで糖尿病妊娠ラットを作成し、妊娠17日目に胎児を取り出し、摘出した脳について解析した。糖尿病妊娠ラットから生まれた仔の大脳皮質ではコントロールラットから生まれた仔と比較してタンパク質のAGEs化が促進し、Akt473のリン酸化レベルが低下していることが明らかとなった。初代グリア細胞においてもIDMでタンパク質のAGEs化が促進していることが明らかになった。
子宮内が高血糖環境に曝されることで、脳の発生段階で、神経細胞内のタンパク質が過度にAGEs化されることにより、産まれてきた仔の神経系にネガティブな影響を及ぼす可能性が考えられた。今後は、新生児脳についても同様に検討を行い、糖化によるアポトーシス解析を行う。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K11136
ID情報
  • 課題番号 : 18K11136
  • 体系的課題番号 : JP18K11136