共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

胎児期POPs曝露の甲状腺機能攪乱作用が児のADHD症状へ与える影響の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K10042
体系的課題番号
JP18K10042
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

甲状腺ホルモン合成には、主に土台となる蛋白質のサイログロブリン(Tg)とヨウ素化酵素である甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)が大きく関わっている。橋本病等の自己免疫性甲状腺疾患では、これらの自己抗体である抗TPO抗体(TPOAb)、抗Tg抗体(TgAb)が産生され、自己の甲状腺細胞を攻撃することで甲状腺ホルモン産生が低下する。そこで本研究では出生前向きコホート「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ(以下、北海道スタディ)」を用いて、妊娠中のPOPs曝露が母児抗甲状腺抗体値の攪乱により甲状腺ホルモン濃度を変化させ、児のADHD症状へ影響するかを明らかにすることで、近年増加傾向にあるADHD症状のメカニズム解明への糸口を示し、予防対策および治療法への道を切り拓くことを目的とする。母体血および臍帯血中甲状腺ホルモンTSH、FT3、FT4値を測定している母児約1000組(2000名)を対象としてH30年度は、母児約1000組(2000名)の妊娠中母体血および臍帯血中TPOAb、TgAb濃度をELISA法にて測定した。この結果、母体血中のTgAb、TPOAbの中央値はそれぞれ15.0、6.062 IU/mLであった。また、臍帯血中のTgAbは38.0 IU/mL、一方TPOAbは7%の検体からのみ検出された。これらのデータを用いて、既存のコホートの母体血中の有機フッ素化合物(Per- and poly-alkylfluorosubstances: PFAS)濃度との関連を解析したところ、調整後のモデルにおいても母体血中PFASとTPOAb、TgAbは負の相関を示した。一方、母体血中PFASは臍帯血中FT4と正の関係、TgAbとは負の相関を示した。加えて男児では、母体血中PFOSはTSHとの正の相関を、PFTrDAはTgAb都の負の相関を示すことを明らかにした。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-18K10042/18K10042seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K10042
ID情報
  • 課題番号 : 18K10042
  • 体系的課題番号 : JP18K10042