2004年 - 2006年
汎諸本論構築のための基礎的研究-時代・ジャンル・享受を交差して-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
本研究は、時代やジャンルにより細分化して行われてきた日本古典文学作品の諸本研究を、統合的に見渡して本文流動の法則性を探り、それを基に、改めて時代やジャンル毎の特殊性を総合的に考察しようとするものであった。;この目的遂行のため、「本文の流動と書写活動」・「本文の再生と文芸意識」・「本文の権威化」との三つのテーマを立て、3年の研究期間内に8度の研究会を開催し、研究代表者や分担者の他に、研究協力者の若手研究者や、手薄な分野の専門家をゲストとして招聘して、各々の立場からの研究発表を行った。また最後の第8回目には「本文の流動と固定」と題したシンポジウムも併せて行い、会場参加者も交えて、諸本研究の現状やあるべき姿について討議を行った。;これらの活動を通して、同じ日本文学研究であっても、ジャンル毎に諸本研究の方法や手続き、また伝本の有様に関する認識に、大きな差異があることが改めて確認でき、それにより、今後の諸本研究のあるべき方向性や方法についての、大まかな共通認識を形成することができた。;3年間の研究を通して得られた知見は、参加者が個人的に論文を発表し、「11研究発表」覧に挙げたような成果として結実している。また本研究の報告書には、代表者と分担者の他に、研究協力者やシンポジウムのゲストも加わって、12本の書き下ろし論文と、2本の翻刻を掲載して、3年間の成果を公表している。
- ID情報
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- 課題番号 : 16520112
- 体系的課題番号 : JP16520112