共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年7月 - 2019年3月

幹細胞における老化機序解明と組織再生へ向けた試み

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
16KT0125
体系的課題番号
JP16KT0125
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

膵臓の加齢性変化は、糖尿病や膵癌の発症に関わるため、極めて重要である。前年度までの検討により、膵臓において長いテロメアを有する組織前駆細胞様の細胞が存在し、加齢とともにその数が減少することが明らかとなった。
そこで30年度は、前駆細胞マーカーの一つであるSOX9について、膵臓における陽性細胞の分布、数、年齢との関連を検討した。膵臓のSOX9陽性細胞は膵管上皮に多く認められ、膵腺房細胞、ラ氏島にはほとんど認めなかった。加齢とともに、SOX9陽性細胞数は減少した。膵臓の前がん病変や癌細胞では、SOX9の発現の亢進を認めた。
膵癌細胞におけるSOX9の発現は、予後と関連する傾向を認めた。再発した膵癌症例では、癌細胞におけるSOX9の発現が再発巣で、原発巣よりも増加していた。一方、テロメア長は原発巣と再発巣で同定であった。このことから、膵臓のSOX9陽性を示す前駆細胞様の細胞は、加齢や発癌過程において重要な役割を担うことが明らかとなった。また、がん細胞ではSOX9がテロメア長の維持を介して癌細胞の不死化に関与する可能性が示された。今後、SOX9によるテロメア長の制御機構の解明、及び膵癌以外での他癌種におけるテロメア制御機構の解明を行い、加齢による発癌機構の解明を目指す。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16KT0125
ID情報
  • 課題番号 : 16KT0125
  • 体系的課題番号 : JP16KT0125